よく聞かれます。「Chromebook Tab 10では絵を描けるのですか?」「絵を描くのによいAndroidタブレットってないんですか?」と。絵を描くというのは結構GPUやメモリを食うので、わりとハイスペックであることを要求します。しかし、iPad Proはでかく重く、特にそのペンシルがトップヘビーで描いていて疲れやすいので、Anrdoidに解を求める人が多いのです。
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まず、共通の問題として挙げておきたいのは、Androidアプリの大半は普及しているSnapdragonに最適化して実装されていることが多いです。今回のレビューで使うアプリとしては『Adobe Photoshop Sketch』『Autodesk Sketchbook』などはこれ以外のSoCでは頻繁に無応答になり、ものによってはシステムを巻き込んで強制再起動を余儀なくされる場合があります。特にPhotoshopはSoCにうるさいです。
ここでは、デジタルイラストでいっさいPCを使わなくなった身として、本当にPC並の描画処理ができることを追求したレビューを付けて5本(※Galaxy Tab S4/S3は姉妹機で描画性能としてはさほど違いがないのでレビューとしては1本です)、使えるものをおすすめしていきます。
Samsung Galaxy Tab S4/S3
この機種はリファレンスにできるほど、非常にいいです。
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ペンもWacom EMR方式だし、Snapdragon 835/820とハイエンドにふさわしいSoC、そして美しく正確なRGB表示のできる画面と、三拍子揃っています。Android系のタブレットでこれ“以上”が揃ったものはそうそうないんです。iPad Proと同等かそれ以上の描写能力を持つという点においては、この機種がオンリーワンの選択肢と言っても過言ではないです。
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この機種に限らず、EMR方式共通の問題として、描線の入りと抜きの処理が苦手ということが挙げられます。これは、単にピーキーな入力になるのではなく、2つか3つ、点描のような状態で入力された後に描線が描かれるという問題です。微妙な筆圧に弱いのです。ある程度描いていれば、どれくらいの力を掛けたときにこれが起こるのか分かるようになってきます。なので、本人の研鑽で防げる問題ではあるのですが、ラフを描いている際などそんなことを気にしていない原稿が描点で汚れがちになります。
ただ、EMRはそれ以外の描写は非情に正確で美しいので、EMRが選べるならまずはそれを選びたいところですね。本機の問題としては、日本では正式販売されておらず、個人輸入に頼らざるを得ないという点だと思います。
Acer Chromebook Tab 10
Chrome OS搭載タブレットですが、公式にAndroid互換機能があり、SoCもARMなので(x86のように)特に動作の遅延もなくAndroidアプリが動作するタブレットでもあります。
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『Adobe Photoshop Sketch』はもちろん、Google謹製のWebアプリ『Chrome Canvas』で快適にラフ制作くらいならこなせます。これもEMR方式のペンです。
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ただ、レイヤーが少ないうちは快適なのですが、搭載メモリが少ないのでレイヤーを多用するとアプリの動作が不安定になることが多く、Photoshop Sketchなどは頻繁に無応答になりがちです。本格的な原稿作成には使えないという印象があります。SoCであるOP1 (Rockchip RK3399)はそのままでいいので、メモリが倍増してくれればより実用的になると思います。
Lenovo Yoga Book YB1-X90F (Android)
SoCがx86 (Atom X5)ですが、画面とタブレット部が“分かれている”ことを求める場合はオンリーワンの存在です。
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この機種は画面側がペンに反応せず、キーボード面がフラットになっていてタッチキーとペンタブレットの2モードに切り替えることができるのです。タブレットモードでは、古くからのグラフィックペンタブレットのように画面を見ながら手元のペンを操作する感じになります。これもEMRです。
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Android x86の機種自体が少ないのもあって、『Photoshop Sketch』はまったく最適化されておらず、レイヤーが1枚でも無応答になることがあります。『Autodesk Sketchbook』は快適に動作するのでアプリによりけりという感じはありますが、Photoshopの筆を求めるとかそういう場合は選択肢から除外されることになるでしょう。
タブレットとして見た場合の描画面積はかなり広く、画面とほぼ1:1の大きさで描くことができます。実際の作業としては拡大しての描画が増えるはずなので、そういう点では非常に細やかな作業ができます。
Huawei MediaPad M5 Pro
Huaweiは世界的に見るとトップシェアかその付近にいる存在で、タブレットにおいても普及率が高いです。
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そうすると何がいいのかというと、このレビューの観点からはアプリの最適化がなされている可能性が高くなるということです。実際、SoCにややうるさ型の『Photoshop Sketch』は、SoCにHiSilicon Kirinを積むこの機種でも快適に動作します。
ペンの方式はHuawei M-Penと呼ばれる独自プロトコルですが、Android OSのAPIに準拠した実装となっているので、筆圧が使えるアプリでは正しく動作します。また、EMR系が苦手とする入りと抜きに関しても正確に入力されます。
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Huaweiは非常にたくさんの機種を横展開しているのでペン対応の機種が分かりづらいのですが、iPad Proの対抗馬としてはM5 Proがそれにあたり、ハイエンドらしい実直な作りをしています。ペンも重いパーツは下方向に集中しているので、描いていて疲れづらいのも特徴ですね。さほど機能性を求めない場合は、M5 liteも同様にペン対応しており、選択肢に入るかもしれません。
プリインストールにペン対応のドローイングアプリがひとつもないので戸惑いますが、『Photoshop Sketch』『Autodesk Sketchbook』ともに正常動作します。これらはペンモードがあるので、ペンで描画・指先で拡大縮小や移動などを使い分けることができます(これは、この機種に限ったことではないですが)。