2014年5月31日土曜日

Verizon DROID DNA HTC6435LVWのバッテリーが膨らんだので交換した

ぼくの勤め先のお店はiPhoneの修理(Apple非公認のほう)をやっていて、iPhone 3GSなんかはバッテリーがばっくりと膨れあがったハマグリのようなやつが時たま持ち込まれたりするんだけども、まさか2012年のデバイスでこんなんなるとは思ってませんでした。

DROID DNAは、今となっては貴重なワイヤレス充電Qi対応の3G対応電話機(※ここではドコモ FOMA UIMカードが使えるという意味で)なので、通話転送かけて家に投げ出しておく用途としてもあと3年くらいは動いてほしいし、(まあ今も動いてるけど)バッテリーを交換して動くならそうしたい。

DROID DNAはHTC Butterflyファミリの一翼なのでたぶん共通だろうと思ったら、やはりJ Butterfly HTL21やButterfly X920d/X920eと共通の『BL83100』がバッテリーコンポーネントの型番らしいです(HTC速報の@fnojiさんありがとう)。

が、もう時期が悪い(製品が古い)ので日本に輸出してくれるようなところでは全然扱っていない。リチウムイオンバッテリーは航空便に乗せられないので、船便で大量に送ったほうがいいのだからこんなニーズのないモノだとどうしようもない。

で、中国で適当にアタリを付けてモノを入手しました。換算2000円くらい。たぶん本物(iPhoneみたいに偽物バッテリー作って儲かるほど売れてない)。HTL21のジャンク探す? とかそういう話もあったのですが、まだジャンクのほうが高い。

本体の分解は、まずリアケースを外すところからです。USBコネクタのあたりからスクレイパーを差し入れて(本体裏面正位置から見て)反時計回り(つまりボリュームボタンのない長辺側を先)にツメを外していくといいと思います。両サイドの赤いメッシュの部分はリアケースに貼り付いていて、これには何の機能もありません。ここはLCDに近い辺にスクレイパーを差し入れてツメを外します(本体裏面側ではありません)。変に弄るとメッシュがおかしなことになって悲しい気持ちになれます。

大成のカーボングラファイト製の散熱シートが貼られていますが、シートを壊さない(破れやすいので)ように、基板に配されたコネクタが見える程度に両端をめくりましょう。

LCD側が盛り上がっていて基板側も盛り上がっているわけなので、バッテリーが膨らんでいることによるストレスがそれなりにあります。ネジを外す際、対角などでは外さないほうがいいと思います(捻れの応力がかかるため)。

上からでも下からでもいいですが、まあ順当にまず左下のバッテリーコネクタから始めることにして、下からネジを外します。基板に繋がっているフレキシブルケーブルやアンテナケーブルも上に向かって順に外しながら、メインボードを取り外します。

メインボードを外すだけでバッテリーを剥がせる状態になりますが、ここで金属質のスクレイパーを使うと突き刺して発火(爆発)させる可能性があるので、樹脂製のスクレイパー(いわゆるブラックスティック)を使います。

バッテリー新旧比較。だいぶ膨らんでいます。昨今のリチウムイオンバッテリーは安全弁があって、このようにガスをため込んでしまうことは滅多にないのですが、HTCへの納入業者のバッテリーは、あまりいいバッテリーではないようです(HTC J One HTL22もバッテリーが膨らんでLCD側がばっくりと外れることがあります)。

ちなみに、これが発火に至るのは製造工程で使われた水分や有機溶媒が残留するからで、それらがのちに充放電での発熱などで反応して(H2)水素やプロパンなどを生成するからです。

バッテリーを本体フレームから剥がすと、両長辺を3Mの極薄両面テープで留められていることが分かりますが、ちょっと手元になかった(職場にはあるけど手元にはそんなもの用意してない)ので何にも貼らずそのままバッテリーを収めました(持ち歩かないのでこれでいいですが、カネ取って修理するならちゃんと貼りましょう)。

ちゃんと平らになっているので、逆の手順で組み付けます。ああ、そうだ。元々のバッテリーの両脇にコネクタの緩衝材としてのゴムシートの欠片が貼り付けられていると思うので、それに関しては正しく移植したほうがいいと思います。

加えて1点、気をつけたほうがいいかなと思うのは、本体向かって下側の右のネジは、さらに下部から引き出されている導電シート(写真赤丸の中央付近のビラビラしたやつ)が基板の上(金メッキされたネジ穴のところ)に被さって、その上からアース材(写真左下でスクレイパーの先端に載ってる金属パーツ)と共にネジ止めします。

この導電シートもたぶん帝人のものだと思います。オンリーワンの部材には(もちろん日本製のそれを買うしかないので)それなりにカネがかかっていますが、バッテリーなんかでちまちまコストを削減しているからこのような事態に至ったんだなということがわかります。

逆に、Galaxyなどだとこういった(本来は先端技術でしか作れない)部分が韓国製の粗悪なコピー品で分解するとすぐに破れたりして再利用不可だったりします(その割にバッテリーセルは自社のを使わず日本製だったり)。どちらも完成品そのものは安物ですが、内部のコスト意識が違うわけですね。

組み立て終わって、LCDもリアケースも膨らんでいないことを確認してひととおり感動したら、電源を入れて動作も確認しましょう。

すばらしい。

ワイヤレス充電も正しく機能しています。よかったですね。

ちなみに、DROID DNAは非公式ながら(他のButterflyファミリと同等レベルの)防水性があると言われていますが(実際に防水パッキン等も整備されている)、これに関してはバッテリーが膨らんだ時点で失われたと思いましょう。