2013年8月末、Android端末のイヤホンジャックに挿入する物理ボタン『PRESSY』プロジェクトへの支援受付がクラウドファンディング〝Kickstarter〟で開始され、同10月半ばに目標額を達成してプロジェクトが成立しました。
その後、このPRESSYのコンセプトは無数の中国人どもにパクられ、本家PRESSYの出荷より先に〝Xiaomi MiKey〟などを初めとする中国産コピー製品が無数に出回ることになるのですが(※参考; http://www.engadget.com/2014/04/02/xiaomi-pressy-clone/ など)、紆余曲折を経て本家PRESSYも2014年6月には本国での発送が開始されました。現在は下記から購入することが可能です。
本国での(Kickstarterにおける)申し込みはちょっと時期を逃してしまってだるいなーと思っていたところに、日本でもサイバーエージェント系のクラウドファンディング〝Makuake〟を利用した支援受付が、メディアブリッジによって2014年3月末に開始され、ちょうどいいやと思って『Pressy【黒】と専用キーチェーンセット』(3000円)に投資しました。
要するにこれは〝メディアブリッジが窓口となってPRESSYを代理購入(一般販売分に申し込み)してくれる(ついでに日本語パッケージにしてくれる)〟という感覚のプロジェクトなのですが、日本での発送が本国のアーリーアダプタへの到着より1ヶ月くらい遅れたことで、そういったことを正しく理解していない人たちがコミュニケーションスレッドで暴れに暴れまくったようです。たいへんですね(クラウドファンディングに理解のない人間が集まるようなことをすると、プロジェクトがいったいどうなるかについては以下のリンク先をどうぞ)。
個人的には3月の時点で〝忘れたころに届けばいいや〟くらいの感覚だったので、まだ忘れてもいない7月末に届いたのですら早かった感じでした。クロネコメール便なので、発送予告のあった次の日には自宅の集合ポストへ投函されていました。
パッケージと製品外観
届いたパッケージから見ていきましょう。
届いたパッケージは完全に日本語化されています(ちなみに言語以外は本国でも同一の内容かつパッケージングです)。
『アンドロイドの万能ボタン!』は、そこまで和訳しなくてもよかったんじゃないでしょうか。
開封はピール式。
開けるとこのようになっています。サポート窓口のメールアドレスを日本版にするのを忘れたそうです(これにも怒っている人たちがいてすごい)。
キーチェーン式のホルダは、ぶっちゃけコンセプト段階の(アルミ製のやつの)ほうがかっこよかったんだよね(※参考; http://www.engadget.com/2013/08/30/pressy-android-controller/)。製品版はシリコンゴムになっていて、そのうち伸びそうだしホールド性に疑問が残る。
このホルダの構造では普段使いのぶっといイヤホンケーブル(オヤイデ HPC-SE)になど到底取り付けられるわけがないので、ストラップ紐に通してみた。
ストラップ紐はふつうの革紐なのでホルダのホールド機構も使える。
携帯電話で音楽を聴くなどという頭の悪い行為は絶対にやらないのでこの組み合わせになることはまずないけど、イヤホン使用時の収納イメージとしてはこんな感じなんですかね。
ボタン自体はさすがに中国製のゴミの類いとは違って、綺麗に削り出されてて美しい。
本体(この例ではXperia Z1、以下同様)に装着するとこんな感じ。ちなみにPRESSY自体は防水ではないので、この組み合わせで使うときは気をつけないとなりません。
本体から約1.7mmしか飛び出ないので、よくあるジャックアクセ的なやつより飛び出ないですね。
ちなみに、普段はギルドデザインのジャックアクセが刺さっています。これも切削アルマイト加工が美しい。
- [AA] Amazon.co.jp: GILDdesign アルミ削り出しイヤホンジャックカバー
- レッド: GA-200R
ここまでXperia Z1で紹介してきたのですが、ぼくは本当はXperia Z Ultraで使っています(あまり屋外で使わない端末なので)。スマートコネクトとGoogle Nowが邪魔をしますが、どちらもデフォルトに設定しなければ大丈夫です。
あと、PRESSY公式サイトではHTC One miniと思われる端末がイメージ画像として再三出てくるのですが、PRESSYなんかHTC One (M7)ではBoomSound(beats Audio)が強制的に優先されてしまって、ちゃんと動きませんね(まあHTCが悪いんだろうな)。
PRESSYのボタン自体は思いっきり再生ボタンとして動くのですが、イヤホンが接続されていると認識してしまう上、HTC端末はイヤホンが接続されていると内蔵スピーカーに音声をフォールバックさせることができないので、結果的に音楽は再生されるものの音としては何も流れない状況になります。
なんとなくですが、(HTCに限らず)行儀の悪い割り込み型のプログラムを仕込んでいるメーカー製端末だとPRESSYは正しく動作しないのではないかという気がします。(見た目ではなく内部構造が)できるだけAOSPに近く、できるだけPure Googleに近い端末であることが望ましいのではないでしょうか。
ちなみに、iPhoneに取り付けると(iOS用リモコンケーブルの)センターボタンと同等のボタンとして動作します。つまり、これも再生ボタンです。
長押しするとSiri(または音声コントロール)が起動します。Jailbreakされた環境なら、Activatorなどでよしなにできるのではないでしょうか。
アプリについて
あとは専用アプリの紹介。PRESSYを使うには、Google Play Storeで『Pressy』アプリを導入する必要があります。
アプリを起動して、アクティベーションに使用するアカウント(端末に設定されているGoogleアカウント)を選んで、パッケージ記載のアクティベーションコードを入力するかQRコードをカメラで読み取ると初回アクティベーションが完了。
チュートリアルはまあなんかそれっぽくやり過ごしてください。
デフォルトでいくつかアクションが設定されます。右へスワイプすると消したりできます。
オプションでPRESSYを無効にすると起動時に怒られます。
作成できるアクションは大カテゴリを選んでから詳細な設定を行うタイプ。以下は〝CAMERA〟を例に。
カメラのアクションをどうするかを設定します。今のところは、カメラを起動するかインスタント撮影を行うかしか選べません(LCDがOFFでも実行するかどうかの選択肢はありますが)。
右上の [Choose trigger] を押して、ボタンをどのように押したらこのアクションを起動するかを設定します。ここで〝More...〟を選ぶとカスタムアクションを作れます。
アクションを作成する際に『RUN APP』を選ぶと、アプリを起動したりショートカットを起動したりできます。〝Shortcuts〟で他のアプリのショートカットを選べるようになるので、たとえば『Llama』のようなカスタムショートカットを提供できるアプリがあると利用の幅が広がります。
で、ここまで書いてきて勘のいい人は考えつくと思うのですが、PRESSYは要するにメディア再生ボタンなので、リモコンケーブルを使ったアクションを作れる何らかのアプリならそのまま使えます。たとえば『Press Audio Jack Control』などです。
使用感とかなんとか
本体のクリック感や認識精度はとてもよいと思います。業種柄、コピー製品もいくつか触っていて、どれもクリック感がヘナヘナだったりトリプルクリックやロングクリックが認識できなかったり誤認識したりと酷いモノばかりでしたが、さすがに本家だとそんなことはありません。先に述べた質感なんかも段違いだし、この手の小物ガジェットが好きな人にはたまらないんじゃないでしょうか。
Xperiaだと本体にカメラボタンがあって、しかもこれ〝スリープ状態でも長押ししたらカメラ起動して即1枚撮影!〟みたいな設定もできるわけなので、〝PRESSYならスリープしてても長押しでカメラ撮影できるよ!〟って言われてもピンと来ないかもしれません。ただ、世の中はカメラボタンのないAndroid端末のほうが圧倒的多数派なので、そういう方面には便利な人もいるでしょう。
個人的には、最近の電話機はどんどん巨大化していてみんなナビゲーションバーに指届かなくてイライラするので、適当な覚えやすいアクションをBackとHomeとApps(またはMenu)にでも割り付けたらいいと思います。これでLMT Launcherなど要らないぞ! みたいな。
しかし、これの本質的な対処としては1年経つごとに1インチずつ電話機をでかくしていく、なぜか〝地球上の全人類は1年に平均3cmずつ手が大きくなっている!〟と思い込んでいる端末メーカーと通信キャリアの人間を全員余さず殺害していかねばならないわけで、PRESSYだけでは根本的な解決が望めませんね。