2018年2月19日月曜日

Microsoft Lumia 950 Dual SIM (RM-1118)

ほぼ終焉状態にあるWindows 10 Mobile phonesですが、Lumia 950/950 XLはその中でもMicrosoftのハイエンドの双璧をなすシリーズです。今回のは950無印のデュアルSIM版。DSDS対応です。NEOがWindows 10 FCUで復活したので、ハイエンドならさらに快適なのでは? と思って買いました。

スペック紹介

Snapdragon 808 1.8GHz (ヘキサコア), 3GB, 32GB, F1.9の明るいZeissレンズ(20Mピクセルの1/2.4インチセンサ)、5.2インチWQHD Super AMOLED (2560x1440) という主要スペックです。Lumia 950 XLとはプロセッサとディスプレイサイズが異なる。
SIM1とSIM2のスロットに加えてmicroSDスロットが独立して存在しており、片側のSIMとの排他ではありません。
Continuumは、ぼくはこれ便利な機能だと思ってるんですが、まあともかくワイヤレス/ワイヤード両方に対応しています。ドックが付いてきたので、ドック経由で使える。

USB端子はUSB-C。充電規格はワイヤードに加えてQi/PWA両対応です。PWA対応パッドならワイヤレスで急速充電が行えます。
あと、バッテリーが取り外し可能なので、昔ながらの替えバッテリーを持ち歩く運用ができないこともないです。

それから、ここがメインフィーチャーなのですが、Windows Hello対応の虹彩認証が組み込まれていて、画面を見つめるだけでロック解除ができます。
Windows 10 FCUへアップデートすると、画面をダブルタップでON・ナビゲーションバーをダブルタップでOFF、という設定ができるようになるので、つまり電源ボタンに触れずにロック解除ができるようになります。指紋認証とか古くて脆弱な認証システムを使わなくてよい。
あああと、眼鏡をかけていても虹彩認証できるのはAndroid (Galaxy)と比べてのアドバンテージですね。iPhone X並の快適さがあります。

使用感

全体的にサクサクと速いのと、GalaxyやiPhone Xで見慣れた高精細なAMOLEDなので画面も鮮やかな発色で、使っていてワクワク感があります。ぼくはWindows PCは嫌いだけどWindows Mobileは好きなので、質素な外観だけど所有欲は大変満たされる感じです。

カメラキーがある割に、これを長押しして5秒くらいしないとカメラが起動しきらないのはちょっとマイナス。Galaxyとか0.6秒くらいでスタンバイ完了する。
ただ、カメラ画質はさすがとしか表現しようがなくて、換算26mm相当の画角でこれに勝る携帯電話はないのではという気がします。流行のデュアルレンズで換算50mm相当が載っていれば最高でしたね。

デュアルSIM対応機なのでSIM1とSIM2が別々に管理されるわけですが、片方を完全にOFFってシングルSIM機として使うことができません。SIM2に何も入れなかったとしても画面表示上から消えることがなくて、左上にSIMが刺さってないマークが出続けます。ちょっと邪魔……
DSDSはふつうに動いて、電話アプリとメッセージングアプリも別々に分かれていますが、VoLTEには対応していないっぽいのでDSDVはできないと思います。しかし、AT&T向けのバリアントではVoLTEが動くっぽいので、あくまでもソフトウェア的要因だと思われます。

使っていて便利なアプリ

ソシャゲの類いはブラウザゲームを除いていっさい動きませんが、Microsoftのアプリのユニバーサル化方針を受けて、Windows Mobileにも対応したストアアプリが増え始めています。

クッソ便利なのは『gMaps』『Messenger for Google Hangouts (PRO)』のふたつ。前者はGoogle Mapsを使うのに必須で、後者はGoogleのメッセージングサービス『Hangouts』を使うのに必須。そう、いわゆるGAppsがいっさいないわけなので、こうやって野良で開発されたGApps的なのが増えてきて、昔と比べるととても便利になっています。

『Twitter』『Instagram』『LINE』『Facebook』あたりはまあ動いて当然というくらいの完璧さで動きます。これもWindows 8あたりのころはチープでどうしようもなかった。

意外と便利なのが、『Microsoft Edge』『OneNote』『エクスプローラー』のMicrosoft標準アプリ。Edgeは結構いわゆるモバイル向けサイトをちゃんと表示できて、『ガールフレンド(仮)』とか『グランブルーファンタジー』とか動くんですよ。これも一昔前のInternet Explorer Mobileではできなかったことですね。『OneNote』はまあ便利なのは当然だとして、『エクスプローラー』に関しては〝スマートフォンで標準ファイラを搭載したOSは少ない〟というのがあります。メーカー独自実装のはあるけど、ちゃんとファイルシステムにアクセスできるファイラが、標準で実装されてるのは素晴らしいことだと思います。

そういえば、実は『TriCa for NuAns NEO』が動くのですが、これもICカードを複数管理できるので便利ですよね。

他の何とも違う感覚

ぼくはiPhoneもAndroid (※現在はGalaxy Note8)も使っていますが、Windows Phoneは他にない独特の操作感とか体感速度の軽さとか、そういうところが気に入っているし、このOSの売りだと思っています。

Nokiaの携帯電話部門がMicrosoftに売られた際、Lumiaのブランド価値は下がるだろうけど、Windows Phoneの使い勝手は上昇方向にあるのではないかとワクワクしました。
今のLumia 950は至って質素な外観をしています。〝安っぽい〟梨地のプラスチック外装の〝ハイエンド〟Lumiaが出るなんてNokia時代なら考えられなかったことですが、Microsoftの戦略的にはこれが正しいのだろうし、Lumiaをみんなに使ってみてほしいからこその普遍的な外観であり価格設定であるんだと思うんですよ。

Windows Phoneは他のスマートフォンとの競争からはすでに引いた立場にあります。Windows OSを中核としたスマートハブ思想の一端として、Lumiaが存在します。だから、iPhoneや特にAndroidと比べようとすると(戦略設計が異なるので)矛盾が出てきます。iPhoneはAppleがそれ自体を中核としていて、Androidは設計思想がすべてメーカーに委ねられているからです。
言ってしまえばSnapdragon 808とか二昔前のSoCだし、20Mピクセル/4K撮影のカメラも特に珍しいわけではありません。スペック競争には参加しないスタンスであることが、Lumiaが他と違う決定的な相違点になっていると思います。

LumiaはGoogleで言えばPixelに相当する、リファレンスデザイン・標準プラットフォームという役割を担ってもいます。ここでの体験は言わば。Windows Phoneとはこういうエクスペリエンスだよ、というデモンストレーションです。
その点においてLumia 950は非常に成功したモデルだと思います。スマートフォンに求められる機能がひととおり揃っていて、すべてがそつなく動作します。また、Windows PCとの連携も完璧です。例えるならiPhoneとMacの組み合わせのように快適です。ただし、PCと携帯電話におけるエクスペリエンスが同等であるというアドバンテージが、Windows Phoneにはあります。

望めるのであれば、次期モデルがあってほしいとは思いますが……