2018年10月25日木曜日

Sony WF-SP900 - Yellow

ソニーのBA型でNFMI接続でIP68防水防塵かつ海水対応のフルワイヤレスイヤホンが、先行発売されていたので秒速で買いました。本当は27日発売らしいです。内蔵メモリも4GB積んでてまあ大本命ですね。

EARIN M-2以降、もうNFMIじゃないフルワイヤレスはフルワイヤレスじゃないみたいな風潮ですが、ソニーもとうとうという感じです。Apple W1プロセッサも両側の接続がなかなか切れませんが、NFMIには敵わないのでめでたいことです。

BAはソニー製で、中高域に合わせてチューニングされているので、ちょっと低音が物足りない感じがあります。しかし、その伸びやかな高域はたしかに今までのフルワイヤレスにはなかった感触です。低音はイコライザとソニーお得意のCLEAR BASS機能で、ある程度補完できます。というか、ないと「えっ? えっ……??」という感じのスカスカ具合です。ソニーのドンシャリのドン部分がない感じ。

充電端子がUSB-Cで、とうとう周辺機器にもこのビッグウェーブがやってきたなという感があります。USB-Cになったことで、PCとUSB 3.0で直接接続して楽曲ファイルを内蔵メモリへ転送することができます。

ぜひ試してほしいのがこの直接転送した楽曲の再生で、Bluetooth接続での再生とはまったく違う、このドライバ本来のサウンドが体感できます。非常に量感あふれるサウンドで、低音もぐっと出てきます。高域、ハイハットの音や女性ボーカルの艶感が非常に粒立っていて、この領域にフォーカスしてチューニングしたというソニーの“売り”の部分がメリットとして感じられます。

ちなみに、内蔵メモリからの再生だと6時間、Bluetooth接続での再生だと3時間が稼働時間らしいです。

イヤーピースの装着位置は2段階の深さを選ぶことができます。1段目のほうが大体の人にはいいと思う。アークサポーター(ウィングみたいなやつ)は耳の形状に合わせて選びたいですね。あと、イヤーピースでだいぶ音が変わるので、デフォルトのものからソニーのトリプルコンフォートイヤーピース(EP-TC50シリーズ)へ変えてみるのもおすすめです。付属のものはふつうのハイブリッドイヤーピース(EP-EX11シリーズ)です。

対応コーデックがSBC/AACで、apt-XやLDACには対応していないのがちょっと引っかかりますが、ソニーも(Apple/Beatsと同じく) SBCで充分な高音質化が実現できているという立場にあるようです。しかし、同じソニーの(apt-XにもLDACにも対応している) WalkmanがSBCで接続されてしまうのはなんだかなという気持ち。

WF-1000Xからの進歩

実のところを言うと、WF-1000Xを買ったのちに結構後悔をしていて、ソニーのフルワイヤレスには及び腰ではあったんですよ。だからEF-SP700Nにも手を出さなかったし、XEA20 (Xperia Ear Duo)にも手を出さなかった。イヤホンに3万円出すと、そこそこのもの、WestoneならUM Pro 30とかShureならSE425とか買えるくらいなので、果たしてワイヤレスを買う意味があるのかということも考えたりするわけです。

そのあたり実際どうなのかというのがこのエントリの読者の方が気にされている部分だと思うのですが、ソニーのBAらしい音がします。そういう音作りがされています。ソニーのエンジニアは自社のBAでは低音が充分に出せないことをきっとよく理解していて、そこでこの機種の中高域に故意にフォーカスした味付けをしたんだと思うんですね。ソニーの往年のイヤホンだと思って聴くとたしかにこれは今までとは違うぞ? となるのですが、よく考えてみるとXBA-1SLとかこんな音なんですよ。

それと、WF-1000Xでひどい状態だったいわゆるリップシンク、遅延の問題ですね、これが大きく改善されているのは特筆すべきだと思います。左右で音がずれるのもまったくなくなった。

アンテナ設計や変調方式の変更、そしてNFMIの採用と、あのクソだったWF-1000Xから大きく考え方を変えてきていて、接続性能が非常に高くなった。小一時間お気に入りの音楽を流していれば、この音への慣れもそうだし、遅延しない途切れない音ずれしないという大きなメリットを享受できるようになります。

WF-1000Xと比べると、低域はCLEAR BASSを効かせても全然出ないので低音が好きな人には向かないと思います。KnowlesのBAのように万能選手ではありません。

ただし、(偏りがあるとはいえ)音作りをちゃんとやっているという点は、他のNFMIタイプのフルワイヤレスにはない特徴で、漫然とコンポーネントを組み合わせただけという状況だった市場への一石を投じてくれたなという感じです。

なお、アンビエントサウンド(外音取り込み)モードがかなり実用的になっていて、音の取り込み性能がかなり上がっています。ON/OFFも左ヘッドセットボタンをワンクリックで切り替えられるので、ちょっとレジで会計なんてときに左右をワンクリックずつすればほぼ瞬時に会話できるので、非常に便利です。

音量の上げ下げは、ヘッドセットの上側(角の部分)をダブルタップで行なえますが、右がUP・左がDOWNです。これも実用的になった点だと思います。

イコライザのこと

デフォルトの音はちょっと中高域が前に出すぎている嫌いがあるので、iOS/Androidアプリ『Headphone Connect』からイコライザの設定をいじってみるのがおすすめです。

波線(〜)的な形状をベースに整えていくと、BAらしい広域に渡る音場感が感じられて、低音もそれなりに出てくるので、クイックセッティング(左ヘッドセットボタンの長押しでON/OFFを切り替えられる機能)へ設定しました。CLEAR BASSはガンガンに効かせてもこの機種ではクリップしたりしないので大丈夫です。

何せイコライザが5段しかないので、これくらいのことしかできません。

マルチポイント接続のこと

マルチポイント接続は、携帯電話側で“メディアの音声”を切れるのであれば(つまり少なくともAndroidであれば)、携帯電話の通話音声とWalkmanなどのメディア音声との同時待受に対応できるようです。携帯電話2台(もしくは複数台)との通話音声のマルチポイント接続はうまく行かない気がします。

ただ、内蔵メモリがあるので、メディア音声はわざわざBluetoothで飛ばさなくてもいいかなという感じはあります。特にこの機種はBluetoothと内臓メモリで再生音声がまったく異なるので、その傾向が強いです。

ちなみに、Bluetoothは左ヘッドセットボタンの長押しでON/OFFを切り替えることができます。Bluetoothを切ってしまえば完全にフルワイヤレスWalkmanです。