2016年7月5日火曜日

HTC One A9 (A9u)

いわゆるHIAE#UHLとかHima Aeroとか呼ばれてるやつです。色にはそれほどこだわるつもりはなかったのだけど、結局いつもどおりの赤(Deep Garnet)です。

そろそろAndroidも指紋認証にしたいことと、普段遣いのHTC Butterfly 3はちょっと大きいので、5インチクラスでちょっと尖った機種が欲しくなってこれを買いました。

画面の発色が有機ELっぽいなと思ったら本当にそうで(Samsung Full HD Super AMOLED)、Full HDをほとんど違和感なく表示できる技術の進歩にびっくりした。

指紋認証はスリープからの復帰時のほか、純正の『Boost+』というアプリで設定すれば、あるアプリの起動時に指紋認証を要求する、といった設定ができます。これが標準機能で存在するのはとてもよいと思う。

CPUがSnapdragon 617、メモリが3GB、ストレージが32GBなので、ミドルレンジの上のほうといった体ですが、本体の質感はとてもきれいで、サイドのバフ掛けされた鏡面加工と背面のうっすらとしたヘアライン仕上げ、フロント側の2.5Dの曲面ガラス(Gorilla Glass 3)など、およそ外見で手抜きと思われる場所はありません。

Sense UIは〝7.0_g〟という特殊なバージョン表記で、これは何なのかと思ったらGoogleの〝g〟でした。Google版Androidに極力手を加えず動かされている特別なSenseで、アップデートへの追従が早い(公約ではNexusファミリーから15日以内)のが特徴のようです。ぱっと見では通知領域のクイック設定パネルがAOSPなどで見られるタイプそのまま。

Qualcomm Quick Charge 3.0 (QC3)に対応しているので、充電も速いです。QC3対応のACアダプタを使うと残量15%の状態から30分程度で満充電になります。バッテリー容量が2150mAhとはいえ、ものすごく速い。ただし、消費もちょっと他より速いです(3000mAh超のデバイスに慣れきっているから)。

フラッグシップであるHTC One Mシリーズと比べて、失われたものについても考えてみましょう。

メインカメラがUltraPixelでもDuo Cameraでもなくなって、ふつうのF値2.0な裏面照射型1300万画素になりました。ただし光学式手ぶれ補正付き。明るく素直な(これまでよりあっさりしている)発色のカメラです。

フロントデュアルスピーカーのBoomSoundもなくなりました。スピーカーはモノラルです。Beatsを失ってからのBoomSoundは微妙だったのでなくなってもいいかな、みたいな……

フロント側のHTCロゴがメタリックではなくグレー表記だったり、HTCらしい背面のアールを描いた曲面ボディが失われたりしていますが、この辺は好みの範疇ですね。

あ。SIMスロットとSDカードスロットがButterfly 3と比べて上下逆になっています。しかしこれは左右だったりすることもあるし、ここもたいしたことではない。

[公式](http://www.htc.com/us/smartphones/htc-one-a9/)でも煽っているのですが、imitate元であるiPhone 6ファミリーとは似てはいますが、全体的なUXとしてはHTCの電話機だなという感じです。電源ボタンに刻みが入ったのはとてもわかりやすくて好印象。

電話機で音楽を聴かないのでぼくにとってはあまり意味がありませんが、いわゆるHi-Res Audio対応で、16→24bitへのアップサンプルを自動で行うDACがビルトインされています。デジタルアンプとしてはDolby Audioがプリインストール。

ただ、いわゆる『音楽』アプリが入っておらず、Google Play Musicに投げっぱなしという感じになっています。他のAndroid 6.0なHTC端末から音楽アプリを移植しても、正しく動かすことはできませんでした(比較的よく移植されているソニーのMusic/Walkmanアプリは動く)。

全体的に、非常によくまとまった電話機だと思います。HTC 10はちょっと…… という向きの方におすすめ。