2018年9月28日金曜日

Surface Go 長期レビュー (1ヶ月目)

Surface Goについて、定期的にレビューしていこうと思います(目標としては半年くらいは)。個別エントリでも個々に触れていっていますが、その裏話などを書いていきたいです。

おそらくふつうの人とは違う使い方をしている自覚はあるので、また馬鹿やってるなーという気持ちで読み流していただければ幸いです。

2日しか持たなかった、Windowsだけの生活

こうなることへの若干の不安要素はあったのですが、案の定2日目くらいから不満が出てきて、Linuxちゃんとブートさせたろやないかいという気持ちになりました。

不満な点の大きなものとして、コンソールへ気軽に降りられない、というのがあります。また、コマンドプロンプトやWindows Power Shellでも、管理者への昇格が面倒というのがあります。そして、管理者権限でもコンソールから自在にシステム設定を変えられるかというとそうでもありません。

一方、ぼくはLinux (UNIX)ではそれほど自由度を求めていなくて、ウィンドウマネージャもディストリビュータの指定する固定のものでいいし、パッケージマネージャもなくてもいいくらいの気持ちです。そういう意味でMac OS X/macOSは非常にシンプルでよかったのです。*BSDをベースに美しいウィンドウマネージャと統一された管理インタフェースが用意されていた。

その上で、Linuxにおいて似たようなディストリビューションはChrome OSだと思っているので、オープンソース版のChromium OSをベースに構築されたCloudReadyをインストールしました。

素直ではない、EFIブートローダ

CloudReady以外に、Debian GNU/LinuxとLinux Mint、そしてOSX86を選択肢に入れていたのですが、SurfaceのEFIは本当にWindowsにだけ最適化されていて、liloやClover、grub2といったよくあるブートローダを読みに行ってくれません。これはSurfaceのEFIが、CSMやEFI fallbackを許容していないからです。 CloudReady (というかCxOS全般)はgrub2をベースにこのような独自実装のEFIに個別対応をしていて、Secure bootさえ切ってしまえばブート可能でした。

一直線ではなかった、CloudReadyへのパッチ

インストール直後でWi-FiのAPが見えないという状況だったので、まずカーネルソースを追うことから始めました。これは、幸いWindowsにはGUIで使いやすいgitブラウザがたくさんあることから、苦行ではなかったです。 ある程度見当をつけたところで、当該箇所がプロプライエタリコードであるということに気がついたので、バイナリの書式の解読と該当箇所へのパッチを作りました。 当初のパッチは実は見当違いな場所で動作せず、バイナリの書式が不正なものになってしまったのでWi-Fi自体が起きてこなくなり、別の見当違いの場所を追ってみるなど、いくつか回り道をしました。

最終的には近い場所にある別のファイルで定義されているものが読まれるということがわかったので、そちらにパッチを書いて正常に起動できるようになりました。

この成果物は以前のエントリにまとめてあります

Windows Updateで端末側のアップデートも降ってくる幸せ

SurfaceはEFIやME、TPMなどの主要な構成コンポーネントへのアップデートもWindows Updateで降ってくるので、まるでMacのような楽さがあります。

具体的には、EFI 1.00.03が降ってきて他OSのブートローダとの互換性が改善されたりしました。こういうのはどんどんやってほしい。

一方、Windowsのスタートメニューのタイルには広告的な感じで有料アプリへのリンクタイルがいくつか含まれています(リワードモデルなのでしょう)。例えばPhotoshop Elementsが40%引きで買えたりと、考えようによってはリワードが大きいのですが、これらを嫌う人もいることでしょう。

Officeが付いていることには賛否両論ありますが、付いてないモデルが出たとしてそれが下位モデルにあたるeMMC 64GBのほうにしか設定されていなければ、それはそれで怒る人が出ると思うので、今のやり方が最大公約数だったんだろうなと思います。

Linux/*BSD勢力が増えた

世界を見渡すとやりたい人はいっぱいいるんだなと思いました。

JIS B5サイズくらいの、10インチクラスのUMPCみたいなカテゴリにこれくらいパワフルな端末が出るのは本当に久しぶりだと思うので、こうやってコミュニティが盛り上がっていてくれると嬉しく思えてきますね。

意外と膝上コンピューティングできる

Surface Proを歴代使ってきて、結局のところ膝上に乗らないというのが最大の欠点だなと思っていたのですが、大幅に小型化されたことによって膝上に乗るようになりました。

これがなかったら、わりと早期に手放していたと思います。膝上でしっかりタッチタイピングできるというのは重要で、これはiPad Proではなし得ないことのなので、両者を比較している人がいたらSurface Goはアリだよ、という気持ちです。

意外とバッテリーを食う

通常利用時のバッテリー減少具合はそれほどでもないのですが、スタンバイ(S3)が結構電力を食います。これはWindowsでもCloudReadyでも大差ありませんでした。

シャットダウンしてしまえばいいのですが、タブレットデバイスは蓋を開けたら画面が点いてほしいし、結構利便性を残っている部分だと思います。

意外とパワフル

正直CPUの性能にはまったく期待していなかったのですが(このサイズ感が重要!)、ここは期待を裏切られた場所で、そこそこのパワーがあります。

モバイルPCにおいてここは重要な部分で、“そこそこのCPUパワーと長時間のバッテリー駆動”というのが要であって最優先されるべきだと思います。 Surface Goはそこをうまく作っていて、フルスペックの性能は保証しないけどだいたい動くよ、というほどよいスペックを持ってきました。これは画面サイズなどもそうで、フルHDじゃないけどだいたいフルHDくらいのサイズだよ、という極めて慎重な選定が為されています。

これくらいあれば出先で写真にフィルタを掛けてSNSへアップロードくらいのことはこなせるし、いざ必要となれば時間はかかるけどフル機能の現像アプリケーションも動かせるよ、という寛容な姿勢は他のタブレットにはないメリットだと思います。