香港行きの日帰り出張(※これは後に日帰りでなくなる)が急遽決まったので、フライトと現地で生き抜ける持ち歩き環境を検討する必要ができました。 筆者のふだんの持ち歩き環境はVAIO Pです。もう6年も前のパココンなので、現代的なパココンと違ってバッテリーも1時間くらいしか持ちません。会社でsshしてPHP書くとか、都内のワンデーで済む取材程度ならVAIO PのOSX86で充分なんだけど、長時間電源から隔離されるとなるとさすがにつらい。ぼくの手持ちでこれより格上のモバイルパココンとなるとMacBook Pro 15 Retinaで全部入りだし2kgもあるし、これを持ち歩くのは人道的でない残忍な刑罰です。
ところで2014年になっても、1kgを切っていて・できれば800g前後くらいで、ついでにAtomは避けましょうとなるともう以下の3機種しか選択肢がありません。
- VAIO Pro 11
- Surface Pro 3
- Let'snote RX4
昔は山ほどあった、キーボードは短縮ピッチで本体もA5サイズを目指したような、ミニマムパココン的なものはまったく作られなくなってしまいました。
そして、革新的な薄型パココンだったはずのMacBook Air 11は4年もまったく刷新されず、未だ太古のネットブックですらびっくりの1366x768などという画面解像度で、重量もAC込み1.2kgとかなので、目が潰れるし重いし馬鹿しか買わないしこんなものは明らかにない話です。スタバでドヤ顔の時代は完全に終わった。
Mac OS XはHyper-Vで仮想マシンを動かせばいいので、こんな旧態依然としたゴミを買わされるくらいならWindowsパココンを買えばよい。さようならApple。
機種選定について
最大12インチクラスまでを許容するとして、できれば英字(US-ASCII)配列のキーボードがいいので自動的にLet'snoteが選択肢から外れ、ソニー時代のVAIO Proの中古(ソニー時代なら英字キーカスタマイズがあった)か、Surface Pro 3を買って英字キーのType Coverを別途購入するか、ということになります。
Let'snoteのカッパー&ブルーという新色は衝撃的なまでのセンスのなさハイセンスさなので、目立つこと請け合いだし明らかに欲しかったのですが、英字キーボードが選択肢にないことでぼくの選択肢からも外れてしまうので、そろそろPanasonicさんも海外展開しているTOUGHBOOKからの英字キーボードをLet'snoteへ持ってきてほしい。そうなれば迷いなく最上位モデルを予約開始日にカートに入れて決済する人を、ぼくは自分を含めて4人くらい具体的に思い浮かべることができます。
気を取り直して。最終的にType Coverはどうせ香港へ行けば売っていると思うので、取り急ぎSurface Pro 3の本体を入手しました。Core i5/8GB/256GBの中間モデルです。
Core i7になるとグラフィックアダプタがHD5000になって余計な発熱でダウンクロックが発生しやすくなることと、128GB SSDを選択すると自動的にメモリが4GBになることから、8GBメモリを要求した時点で選べるのは事実上1モデルしかありませんでした。
Surfaceの熱設計について
ちょっとこの、いろいろと言われている〝熱設計〟について別メーカーの元機構設計者として一言申しておきたいのですが、よく言われる〝設計として、熱許容量をミスったのではないか〟というのはチョット違うと思います。
詳しい人は使っていると気がつくと思うのですが、Surface Pro 3には〝排気ファン〟がありません。この端末に設けられた冷却ファンは実は〝吸気ファン〟です。
また、本体の素材が近年の金属筐体ではそれ以外ないのかよというくらいの勢いだったアルミ合金ではなく、マグネシウム合金です。この、2000年代初頭の〝銀パソ〟ブームでは本当にそれしかなかった素材ですが、もうマグネシウム合金の始祖とされるThinkPadですらほとんど採用していない、マグネシウム合金であることがミソです。
アルミ合金は吸熱と放熱が速く、言わば〝冷やしやすい〟素材です。だからこそパワーのあるIntel Coreプロセッサ搭載機がこぞって採用しました。アルミの特性と強力な冷却ファンで、ボディ(シェル)全体を使って強制的に放熱させるのです。
マグネシウム合金はちょっとアプローチが違って、熱の拡散性がよいのです。与えられた熱を素材全体へ〝散熱〟させることができるのです。だからこそSurfaceでは、アプローチとしてまず高い熱源であるプロセッサとコンパニオンチップを強制吸気によって冷却させ、ヒートシンクと導熱パイプを張り巡らせて、余熱をシェル全体に拡散させて放熱しようとしたのでしょう。
また、第4世代CoreプロセッサであるHaswellマイクロアーキテクチャのプロセッサは非常に難産で、ベンダー側も度重なるエンジニアリングサンプルの変更で、最後までハイエンド寄りプロセッサのテストが充分にできなかったのではないかと思います。
最終的に(Core i7が)こんな電力を食うプロセッサになるとわかっていれば(Haswellは超低発熱〝を夢見た〟プロセッサでした)、もっと余裕のある熱機構を作っただろうし、それはSurface Pro 3をCore i5プロセッサ構成にした場合には放熱に関して充分な余裕があることからも傍証可能です。
〝銀パソ〟の時代は、たとえばMobile Pentium III/MやCrusoe、そしてCentrinoマイクロアーキテクチャのPentium Mなど、電力消費が(当時としては)低くて低発熱なプロセッサが多く、従ってファンレス機構が組みやすく、放熱機構としてもシェルとしての剛性としてもマグネシウム合金は(これも当時としては)理想的でした。
これを現代に蘇らせ、数百グラム級の軽量化を成し遂げた上で、かつ冷却ファンという可動機構を組み込むことが可能となった、というのがSurface Pro 3の本来評価されるべき〝テクノロジの進歩〟です。この機構設計はおそらくBroadwell世代のSurfaceとなってから、より活きることでしょう。
ほかに買ったもの
ACアダプタを家でも外でも使い回し、みたいな無駄な作業は絶対に発生させたくないので、添付のACアダプタは外出時専用です。幸い(ASUSとかの)「よくわからないパココンを買ったら本体の半分くらい体積がある巨大なACアダプタが出てきた!」みたいなことはなくて、大手メーカーではごく標準的な小型タイプだったのでよかったですね。
で、便利なドッキングステーションがあるそうなので〝充電専用に〟買いました。金額とか費用対効果はいっさい考えないほうがいい。
本体を置いてサイド部分をガショッと押せば充電されます。
取り出すときはサイド部分をガショッと引き出せば本体を持ち上げられます。確実な機構ですね。
保護フィルムは純正のガラスフィルムが12月に発売になるらしいけど、それは待っていられないのでナカバヤシのアンチグレアフィルムを。
- [AA] Amazon.co.jp: マイクロソフト Surface Pro 3 用 液晶保護フィルム
- 高精細 反射防止 気泡レス加工: TBF-SFP14FLH
店頭ではすごく売れているらしい予備ペンは買っていません。ぼくはこの端末を〝クラムシェル型の〟ノートパココンとして買っています。ピュアタブレットや2-in-1だとはまったく思っていません。もういい加減、そういう単なる板とか変形合体が便利だという幻想は捨てましょうや。
シンプルなトップロード式のケースがあればそれが欲しかったのですが、なんかジッパーになってたりフタがついてたり、そんなもんいらねーんだよ3辺だけ閉じてろよ、みたいな気持ちになりました。
結局、MacBook Air 11 (初代、2010)のときから使っているRadTechのOptexマイクロファイバー製ケース『Sleevz for MacBook Air 11』が実はほぼぴったりなので、これを使うことにしました。MicrosoftはSurface Pro 3発表の段階でMacBook Air 11をさんざん馬鹿にしていたんだけど、つまりサイズすらドンピシャで競合させてきていたわけですね。
まあ、もうあのベゼルとも形容したくないMacBook Airの極太のフチとか本当に旧態依然としているし、1インチでかいSurfaceから馬鹿にされても仕方なかった。
キーボードの購入
香港へ行けばもっとかんたんに買えるだろうと思っていたんですが、そんなことは全然ないので、適当に香港へ行って買おうみたいなぼくと同じタイプの人は悔い改めてください。
中華圏ではタブレット端末というのは〝閲覧以外の用途では〟いっさい流行っていません。こんなものを香港のスタバなどで〝入力目的で〟使っていると心底残念な異常者を見る目でみんな避けて通っていきます。
電脳街と呼ばれる街のそこらへんのPCショップへ行ってもまず(Surface本体すら)売っていないので、そもそものSurfaceの正規取扱店を調べる必要があります。
これはとても単純明快で、事実上『FORTRESS』(豊澤) しかありません。FORTRESSは大手の家電量販チェーンで、わりと香港のそこら中にあります。
行く先々で十数店覗いた限り、FORTRESSであれば携帯電話(とカメラ)しか売ってないような小規模店でない限り、必ずSurfaceコーナーがあります(ほかの量販店にはまずSurfaceコーナーはありません)。
オプション品の在庫もありますが、キーボードは全色あることはまずないです。なので、店舗マップ http://www.fortress.com.hk/en/location/ を見て集中しているあたりに行って、欲しい色を探すといいと思います。
あと、赤が欲しい場合は香港ではこの色だけMicrosoft Store専売です。で、Microsoft StoreはOnline Storeしかありません。
ここで〝じゃあホテルに配送すればいいかな〟とか思うのですが、Microsoft Online Storeは確かに注文を当日または翌日に出荷してくれますが、配送業者の『SF Express』で7〜9日かかります。全国津々浦々せいぜい2日で届く日本とは違います。
結果的に、配達されるまで10日ほど見ておかないといけないので、ぶっちゃけその色に関してはAmazon.co.jpで買ったほうがいいでしょう。ほかの色は(香港に行く予定があるのであれば)手間もかからないし、おそらく輸入したりAmazonで買うより安いんじゃないかと思います(どこまでを経費とするかによるでしょうけど)。
キーボードカスタマイズ
ぼくが英字キーを使う理由は、太古の昔にAX/J-3100キーボードのワークステーションを長年使っていたことに由来するので、一点だけ譲れないことがあります。スペースキーの右隣は〝漢字〟キーであるということです。よくいる〝英語キーはスペースがでかいからぁ(ドヤァ〟みたいな阿呆共とはちょっと理由が異なります(AXは元々スペースキーはそんなに大きくない)。
Windows 8だとちょっと2手間くらいかかるんですが、『SharpKeys』と『AutoHotkey』という2つのツールを組み合わせることで実現できます。
まず、『SharpKeys』を使って、以下の定義を [Add] から追加することで右Altを押下するとKanjiキーのスキャンコードを発行するように変更します。
Special: Right Alt (E0_38) → Unknown: 0xE059 (EO_59)
これを [Write to Registry] でレジストリに書き込むと、次のログイン時から右Altキーは存在しない(ドライバレベルでKanjiキーとなる)ということになります。
これでいいじゃん、と思うのですが、昨今のWindowsが多言語化されていることによって、Windows 8の101キーボードドライバ(非International)はKanjiキーのスキャンコードをIMEイベントを発生させるものとして処理してくれません。
このために『AutoHotkey』を使って、KanjiキーのスキャンコードからIMEがトグルされるようなイベントを発生させる定義を作ります。
sc159::vk19sc159
非常にシンプルで、内容としてはこれだけです。
これを〝vk19sc159.ahk〟などと適当な名前で保存して、ショートカットをスタートアップにでも登録しておけばよいです。
これ以外は(というかMacでも右commandを『Karaviner』で同様に置き換えているからですが)、Macへ〝スイッチ〟してから10年も経っているのに、秀丸エディタの画面を見ればちゃんとCtrlキーをmodifierとして自然に使っていて、案外Macとの混乱は生じていません(ChromeだとたまにAltをmodifierとして押してしまう)。
左Ctrlと左Altを完全に入れ替えるとMacとあまり違いがなくなってよさそうな気はするのですが、AutoHotKeyだとこういうことをしようとするとCtrlが押しっぱなしになったりして、あまり具合がよくありませんでした。
あんまり説明されてないキー操作
キーボード最上段のキーがすべて特殊キーになっていて、いわゆるファンクションキーとして機能させるにはFnキーを併用しないとなりません。が、Fn+Capsでこれをトグルさせて、単独でふつうのファンクションキーとして使用することができます。
Fnキーとのアクションでいろいろできるんですが、Fn+Delで画面輝度を上げる/Fn+Backspaceで画面輝度を下げる、というのも実はあまり説明されていないですよね。これ、バッテリーを長持ちさせたいので割とよく使うキーバインドなのに、公式以外で言及されている例が少なかった。
Fn+SpaceやFn+Alt+Spaceのスクリーンショットのコピーとか、化石のような脳だとPrtScキーがないのでたまに混乱します。昔のMicrosoftならこういう暗黙のキーとか嫌ったと思うんですが、変わりましたね。
ペンループの話
ぼくは使っていないのですが、Surface Pro 3のキーボードには、キーボードのカラーに合わせた『ペンループ』がついてきます。これは、ペンの収納機構を持たないSurfaceで、キーボードにペンを固定するためのものです。Microsoft Storeでも予備のペンループを買うことができます。
ところで、まだ世間にはSurface Pro 2すらお披露目されていないころ、ぼくは別件のプロジェクトで頻回にマイクロソフトのメンバーと打ち合わせをしていた時期があって、このときiPadに付けていた『LEUCHTTURM1917』(ロイヒトトゥルム)のペンループが「それすごい便利そうですね」と話題になりました。
手帳用のペンループは、差し込み型かつ金属製のものが多く、電子機器と組み合わせると本体を傷つけやすいものが多いのですが、ロイヒトトゥルムのペンループはそういうことがなくて長年タブレット状の端末と組み合わせて使っていました。最近は色の選択肢も増えています。
商品企画の担当者たちの目に留まったこれが、そのままの形ではないにせよ巡りに巡ってSurface Pro 3での形に落ち着いたのかも知れないなと思うと、Surface Pro 3の導入とほぼ同時にiPadを捨てた身としては感慨深い。
使用感とか(レビューっぽいやつ)
もう10年もMacを使い続けてきて、Windowsはずっと仮想化していて、それもほぼ(Windowsでしかできない)MMORPGをするためにしか使っていなかったので、いきなりWindows機・しかもMicrosoft純正のリファレンス機などという宗教色の高いものを買って果たして大丈夫なのかと思いはしたんですが、MacでもWindowsでも特殊なものを使おうとしていないので、それほどの違いは感じません。
なんだろうな、画面の右端から出てくるチャームとか〝PC設定〟と〝コントロールパネル〟の関係性とか、やりたいタスクのある場所が一貫してないのはイライラするけど、それは最近のOS XもそうなのでMacユーザーである以上はヨソのことはとやかく言えないですね。でも、これでは素人は、ちょっと特殊な設定の必要な公衆Wi-Fiなどに接続することもできないんじゃないでしょうか(0001docomoに自動接続するのとかかなり難解だった)。
どこかで書いたような気もしないではないですが、ぼくはこれ以前に一度『ThinkPad Tablet 2』を買っているんですね。このときは、今のWindows 8.1ではなくWindows 8なので、さらに何もかも一貫していなくて慣れられなくて、しかもこの機種は本体の発熱ですぐに記憶媒体であるeMMCがやられてしまって、標準保証期間の間に修理されている期間よりも手元にある期間のほうが短かくて、昨今のWindows機ってこんなクオリティなんだ、やばいな、という印象しかありませんでした。正直なところ、昨今のLenovo製品の品質では使うことをあきらめるしかなかった。
Surfaceは今のところそういう軟弱さはないし、おおむねカタログスペックどおりの能力を発揮しているし、Type Coverとか〝こんな明らかに軟弱そうなキーボード大丈夫なの?〟って思ってたけど、実はこれMacBook AirとかMacBook Pro Retinaのキーボードより底付き感がないので、確かに浅いんだけどあれほど打ち疲れはしない。キーボードって剛性感だけじゃダメで、最近のメーカーが口を揃えて言う〝飛び石状のキーボードは結局ダメ〟というアレですね。
タッチパッドが非常によくないと事前によく周囲から言われていたんですが、これは逆にMacのようにスムーズに動くタッチパッドというのはWindowsで見たことがなくて、最初から心の中で馬鹿にしていたので、逆に「これくらい動けばいいほうなんじゃないの」という感じです。右下のあたりをクリックすると右クリックになるやつを切りたい。思うことはそれだけです。
タッチパネルはタップした場所をだいたい正確にトレースしてくれるので、ぼくはこれでいいと思います。ペンでは描かないと割り切っているので、ワコムのfeelITでないことも気にしていない。また、画面表示も拡大を切って、2560x1440をDot-by-Dotでそのまま使ういわゆる〝100%〟表示にしています(これWindowsだと何て言うの?)。
一時的なフォトストレージも兼ねて買っているので、RAWの試し現像とかしてるとチョット気になる、LCDの色味もこの厚みとしてはがんばっているんじゃないでしょうか。Adobe RGB色域92%? とかそんなもんなのかな。お値段なりに満足いく液晶だと思います(どうせ最終プロセスとかこのマシンでやらねえし)。
Macユーザーなので、外部画面出力端子がDisplay Portなのもポイント高いですね。Macで散々買わされるお高い変換アダプタが無駄にならない。 こうやって周辺機器がアチラとすべて使い回しできるという戦略、Microsoftが昔Appleにやられて本当に痛かったはずなので(※Mac miniのことです)、今こそ仕返ししてあげてほしい。
日常的な使い勝手として、これだけは「他のタブレットとは違うんだよ」と主張したい点は、この特殊な形状のスタンドです。無駄に本体裏面の半分程度が横幅めいっぱい・しかも無段階で160度くらい開くこの特徴的なスタンドは、タブレット端末を膝の上で〝入力用途〟で使うことをいっさい諦める必要がありません。
VAIO Tap 11みたいにスタンドの幅が3cmくらいしかないとか、Xperia Z2 Tabletのキーボードケースみたいに芯材のないシリコン素材が軟弱でスタンドの機能を果たさないとか、ああいう意味のないスタンド機構とはまったく異なります。Surface Pro 3のスタンドは、タブレット形状でもタイプカバー使用時でも等しく役に立ちます。
正直なところ、ThinkPad X Tabletの2段階変形ヒンジとか、あんなもん作ってる場合じゃなかったなという感じです。回したりひねったり外したりする必要がまったくない、それなのに同じ機能性を保つ、極めてシンプルかつ驚異的な機構です。
通勤型電車のロングシートの片隅、飛行機のエコノミーシートの狭いテーブル、街中での片腕保持といった様々な利用シーンで、このスタンドの展開の仕方ひとつで800gの重量負担を楽に分散させて使用することが可能でした。もちろん、ふだんのデスクでの利用時にも角度が無段階なので、他のタブレットのように角度制限があって画面が見づらい、ということもないです。ただ、後方にはスタンドを展開するぶんの余裕が必要なのが、クラムシェルタイプのノートパココンと大きく異なる点です。
Good thingsばかりになっちゃったな。あんまりbad thingsが思いつかないんですが、写真がらみで2点。カードスロットがmicroSDなことと、USBポートが本体には1個しかないことですかね。
microSDスロットは、気付きにくい場所(スタンドを上げた内部)にあることもそうだけど、ふつうのカメラは速度が確保できる(標準サイズの)SDカードだし、この場所そこを見ずには出し入れしにくいと思うし、微妙な気持ちになれる。
USBポートはACアダプタに充電用のポートが1個ついてて、そこらのレビューではみんなそれがあるから要らないよ! って言ってるんだけど、外でACアダプタとか使わないだろアホか、という気持ち(※この充電用USBポートは、ACコネクタの限られた香港旅行中はUSBポート水増し用として役立ちました)。
あああと、これに絡んで、画面のフチにあるWindowsタッチキー無効にしたいですね。USBポートとかmicroSDスロット触ってるとここをタッチしちゃってWindows(ホーム? スタート?)画面になった上、そこからさらに何かに誤タッチしてなぜか天気が表示されている、みたいな事故が発生しやすい。
まとめ
Surface Pro 3のコピー『これさえあれば、なにもいらない』。実際に何も要らないかというと、携帯電話も要るし(Xperia Z Ultraみたいな)小型軽量タブレットの代わりにもならないし決してそうではないと思うんですが、2015年までもはや秒読みの今、未だMacBook Air 11などをメインマシンとしている人には天国のような環境だと思います。そういう人には、これさえあれば他にパココンは要らないよって言っていいです。
MacBook Pro 15 RetinaとかThinkPad W510とか、その手の上位のモバイルワークステーションを標榜する端末を使っている人間にはそこまでのインパクトはありません。ただまあ、画面解像度がFullHDオーバーなので、わざわざ3kgもある装備を持ち歩く必要はなくなって800g(〜1.1kg)に集約できるわけで、そういうインパクトはありますね。
片手で持って使えるという意味でタブレット端末と言っていいのはせいぜい200g台の前半までだと思うので、ぼくはわざわざSurfaceみたいな重量級のスレート端末をタブレットだと言って売る必要はないと思っていて、ふつうに軽くてパワフルでフレキシブルなパココンですって言えばいい。PCで800g付近って本当に空白地帯で、訴求力大きいですよ。
逆を言えば、ソレを主力製品として扱っているバイオやパナソニックにとっては、OSのライセンシー自体がこんなもん売ってるんだから相当な脅威だと思います。なにせ、両社とも買収や全社戦略変更によって、これと差別化する要素を失ってしまっている(メディア機能とか機器連携とか)。
〝ThinkPad 535〟をベースとしてIBM ODMで開発された小型軽量Mac『PowerBook 2400c』の失敗を見返すために作られた『MacBook Air』を、今度はマイクロソフトが(MacBook Airを)馬鹿にするために『Surface Pro 3』を作って、もうすべての基準となった〝ThinkPad〟とはまるで異なる思想に辿り着き、しかしおそらく今の市場にある製品の中で、あのアラン・ケイの理想である〝Dynabook〟思想を具現化したものにもっとも近い製品であろうということは、この手の小型軽量パココンの動向を長年見つめてきた者のひとりとしては感慨深いですね。