MacBook Pro 15 Retina (Mid 2012)から〝メインマシンとして〟ThinkPad X1 Carbonへ移行しました。〝Macへスイッチ〟を決断させてくれた初代Mac mini (Early 2006)からずっとメインマシンはMacだったので、Windowsへのスイッチは実に10年ぶり・奇しくもMac mini (Early 2006)の発売月と同じ2月の移行です。
Adaptive keyboardやクリックパッド一体型TrackPointボタンと言った変態ギミック満載のThinkPad X1 Carbon 2 Gen.も相当よかったと思うのだけど、3 Gen.では素直な1 Gen.に近いものとなり、4 Gen.は多層展開になるという噂があった(※事実、後日〝X1ファミリ〟として複数のラインアップで発表された)ので、よいタイミングだったと思います。
筆者にとって初期導入OSが何であるかはあまり気にするものではなく(※別エントリを参照)、Windows 10は素直によいOSであるとも思っています。Windows 8と違って、タッチを強要されるポイントがほとんどなくなったのは大きな転換点でした。しかし、コンピュータ歴約20年強のうち、Windowsをメインで使っていた期間はWindows 3.0A〜Windows XPの十数年、Mac OSも仕事としての用途を含めて考えればMac OS 8〜OS X 10.11まで十数年(※これはWindowsより多い)なので、どちらに慣れがあるかと言われるとMac OSに軍配が上がります(だからこそのOSX86です)。
ですので、以降はOS抜きで評価していきましょう。
Good things
これは〝ThinkPadのプレミアムライン〟としてのX1シリーズにしかない、軽量さと強靱さだと思います。他社の13インチサイズの筐体に14インチ液晶を詰め込み、「キーボードからサイズを決めていった」との文言どおり右Shiftなどのサイズにも無理のない標準的なPC/ATキーボードサイズが確保されていながら、1.1kgないし1.2kg程度しかない本体重量は賞賛に値します。片手で持ってもたわむことのないCFRPとマグネシウム合金で形成されたボディも、プレミアム感の演出に一役買っています。
ほんの10年前であれば、我々が認める〝モバイルPC〟と呼ばれる類の製品は、A5ファイルサイズか、悪くともB5ジャストサイズ程度以下に高精細な液晶と隙間の詰まったキーボードを搭載してできる限り軽くてバッテリー稼働時間の長いもの、という定義がありました。これはおそらく、1993年のThinkPad 220に始まった流れだと思います。2000年代後半には一時期UMPCなどの流れもありましたが、あちらはPDAの後継という趣がありました。
ThinkPad X1 Carbonは、現代のThinkPad 220であると思います。表面積は倍ありますが、近似した本体重量、打ちやすさをスポイルしなかったキーボード、そして、どこも飛び出させることのない〝Bento-box〟というフィロソフィーを守った設計──箱を機能させるのはユーザーである、という基本に立ち返ったモデルだと思います。
Bad things
もとよりこの製品のコンセプトに共感しての購入なので不満点はそれほどありませんが、文章を入力する生業としてはキーボードに数点の不満があります。
まず、キーボードの反発力が割と高く、特に端のほうのキーが押せていないことがあります。よくあるのは小指で押す母音のAキーなど。クリック感の良さや底突きのなさは非常によいのですが、反発力をもう少し抑えるとよかったんじゃないかと思います。また、CapsLockの現在のステートがどこにも示されないので、キーにLEDを内蔵するなどのわかりやすさが必要だと思いました。
キーボード関係でもう一点、カーソルキー周囲に配置されたPgUp/PgDnキーも間違って押したときの被害が甚大なので、もう少しキー配置を練る必要があったんじゃないかと思います。むしろ、ここには何も要らないのでは。
まとめ
リング状にグリーンで輝く電源ボタンの美しさや、CFRPとプラスチックのアンテナ部境界の処理を見せない成形レベルなど、総じて外装にコストがかかっていることが感じられるマシンです。
なお、ACアダプタは角形プラグの比較的新しいほうの製品ですが、これは丸形プラグからの変換アダプタもAmazonなどで売られているので、古いACアダプタも活かすことができます。なお、海外ではLenovoの〝オフィシャル〟ショップが変換アダプタを付けて実機展示を行っていました。