2014年11月7日金曜日

HTC One_M8 (M8y)

1年の長きに渡ってメイン端末の座を他に譲ることがなかった『Xperia Z1』ですが、ぼくはこれをたとえばZ3へ買い換える気はまったくなくて、ソニー自身が〝半年に1回〟と明言しているZ1からのマイナーチェンジモデルのZ2やZ3ではなく、買い換えるなら1年半周期のフルモデルチェンジとなる『Xperia Z4』を待とうと思っていました。

ところがZ1のバッテリーが香港へ至る2回のフライトの与圧システムにちょっと耐えられず完全劣化してしまったため、急遽新しい端末の調達が必要になりました。ほかにXperia Z Ultra LTEとiPhone 6 Plus, iPhone 5cがあったんだけど、でかいのだけとかiOSでは耐えられない……

昔みたいに〝香港にしかない電話機〟みたいなのはもうほとんど存在しないので、日本で(キャリアから)売られている電話機の現地版を買うか、日本でも(並行輸入で)売られている電話機を買うか、という感じです。

で、現地ですから〝Felica搭載〟というのは望めませんので、ソニーにもこの色があれば迷わず買っていた赤い端末、特に発色が好きな『HTC One_M8』を買いました。

香港ではとにかくiPhoneとGalaxy以外はあんまり売られていないので(アジア全般そうだと思うけど)、HTCやLGやソニーにこだわりがある場合(あと正規店の定価では嫌な場合)、地道に探す必要があります。あと、HTC Oneに限ってもE8はいっぱい売ってるけどM8はまず売ってない。

本体カラー

最初はGrayしか見つからなかったんだけど、根気よく何度も見回っているうちにRedを見つけたので、Redを買いました。

HTC、相変わらず箱でかいけどなんも入ってないよね…… (※おまけで純正TPUケース付けてくれた)

M7もM8も同じ〝Glamourous Red〟なのですが、M7よりもM8のほうがちょっとだけオレンジがかった明るい赤です。この違いは、じっくり見比べないと分からないと思います。たぶん、これは調色の違いではなく基材の違いだと思います。

ぼくはこのHTCの深い赤がかなり好みで、ずっと買い続けています。これからもトレンドのビビッドカラーに流されないでほしい。

※後日、Amber Goldの外装が手に入ったので、交換してみました(関連エントリはこちら)。

純正ケース

なんかつい純正ケースをいっぱい買ってしまったので、それぞれを軽く。

Flip case

スタンダードな横開きのフリップケースです。端末とケースで色相環をちょっとだけずらすのが好きなので、オレンジで。

あんまりかっちりとハマらないので、落としたときの保護性能は皆無だと思います。

〝フタ〟のほうにはマグネットが入っていて、開けば画面が点灯します。閉じればスリープ。

M8にはストラップホールがないので、ケースの下のほうに穴を開けて溝を掘って、こんな感じで。本当はDEFFのリングストラップが欲しかったんだけど、ちょうどモデルチェンジの真っ最中で、しかも新しいの全然売ってない……

DotView case

わりとM8のウリっぽい、DotViewです。店頭にはグレーかパープルしかなかったので、グレーで。

まあしかし、DotViewの詳細は日本国内にはHTL23があるので機能なんかは散々語り尽くされてそう。

このフタ、Flip caseと違ってシリコンゴムでできていて、ゴムの弾力が強すぎて開けても勝手にしまってしまうので、このケースを常用するのは厳しい。あと、素材の関係で埃がこびりつきやすい。つらいですね。

Double Dip case

これもM7時代からあると思うけど、プラモっぽいケースです。他の店頭やExpansysなんかでは見たことない色だったので、ピンクとオレンジのやつを。色違いの断片も付いてくる。

まず、上と下のパーツをはめ込んで……

真ん中のパーツを端からガショッとはめ込む。

これだとわりと全方位ガードされる感じになります。

この時期だとアルミ外装は冷たいので、寝るときに使うのにすごいいい。

なんでXperiaじゃなかったの?

Xperiaの環境はもちろん気に入っているのでXperia Z3も考えたんだけど、香港現地ではほとんど売られていないのと、売られていてもM8の3倍くらいするので、単純にコストパフォーマンスの面でチョットないなーという話。

あと、ぼくはわりと〝見たものを見たまま写す〟という観点でカメラ機能を重視していて、昨今のXperiaのあの〝真っ暗闇でも異様に明るく写るカメラ〟はクソだと思っているので、あれがZ4まで続くならZ4もない話だし、もちろんZ3もない話です。

〝暗所性能を上げる〟というのは暗所ノイズと光源の白飛びを低減させる(加えて、それに伴う退色を復元する)ことであって、見えないものを写すことではないし、その必要はまったくないのでiPhoneくらいきれいに写真撮れるようにしろやクソニー(あんたらカメラメーカーじゃないの?)。

というわけで、いずれにせよ消去法的に電話機のカメラを捨てる必要があったので、M8みたいなゴミクズカメラでもいいやという妥協がありました。iPhoneを使おう。

なお、香港現地ではXperiaだろうがHTCだろうがどちらも等しくほとんど見かけないので、入手性という観点ではほとんど変わりません。ほとんど同じ性能のハードウェアに3倍のカネを出すか出さないかという話に帰結すると思います。

なんでHTCなの?

ぼくはわりと太古から携帯電話を使っている部類の人間(※最初に買った携帯電話がNTTドコモ アナログ・ムーバー F II, PHSがDDIポケット ISD-P7)ですが、途中で厨二的な感じで海外デザイン端末にハマったことがあって、Nokia NM151に始まりEricsson ER205, ER207, ER209iとどんどんこじらせて、最終的にPalmの携帯電話『Treo』に行き着きました。これ、実は当時まだ無名だったHTCのODM製品で、このころのHTCは無数にPDAや携帯電話のODMをやっています。

その後、自社ブランドでも携帯電話をリリースするようになったHTCの、Universal (Jasjar) や TyTN (Hermes)を経由して、AndroidもMagicからOne_M7まで、今でもなんだかんだDROID DNA (ButterflyのVerizon版)にメインの音声SIMが挿さっています。

なのでまあなんか無意識にたくさん買ってるし、ある意味ソニーより思い入れがあるのかもしれない(HTC Sense自体はそんな使いやすいとも思っていません)。

EricssonのER207は本当にデザインが最高だったと思っていて、(Ericssonの携帯電話部門を吸収したソニーの)Xperiaを好む理由もこのへんにあると思います。ちなみに、NokiaもNM706iが稼働状態で温存されています。

なお、ドコモとソフトバンクで使うならアジア版のM8y/M8x (M8#ULまたはUHL)がいいはずですが、KDDIで使うならSprint版のM8 (M8#WHL)がいいみたいですよ。

なお、M8の〝なんなのか〟については、本体の裏側にこんな感じで刻印があります。ぼくはドコモと香港/中国で使うので、M8yでよかったっぽいです。

使いたかったアプリ

M7の時代から重宝しているアプリがあって、Apple TVの赤外線リモコンとなる『AIR Remote』(※ぼくが使っているのは有償のPro版)がとてもべんりです。

AIR Remote
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.splashythings.macremote
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.splashythings.macremote_pro

iOSだとApple純正『Remote』がありますが、メインの電話機からApple TVいじれると楽。

本体上部が全体的に赤外線を発しそうなデザインになっていますが、赤外線を発するのは電源ボタンです。周囲は完全に実用性のないデザイン(ここ金属ではダメだったのかな……)。

信仰上の理由から『Gunosy』や『Smart News』を使ってはいけない宗派にいるので、純正ホームに組み込まれた、スマートリーダとしてのHTC『BlinkFeed』は好きなRSSを食わせることができてフィードを高速流し読みできるべんりなツールです。昔(Sense 5の時代)はRSSを食わせられなかったので、自作プロキシapkを書いていた。

そのほかは『Chrome』とか『OneNote』とか『Office Mobile』とかなので、まあ特筆すべきことはありません。 プロセッサも世代交代したしOne_M7と違ってゲーム機になるかなと一瞬思ったのですが、〝スクフェス〟は相変わらずプレイ中にノーツが巻き戻る現象が起こってダメでした。HTCのこれホント何なんだ……

あと、M8y (M8xなども含むアジア香港版?)は非公式ツールでS-OFFできないので、そこらへん必要な人は気をつけてください。 日本語ロケールでも文字描画がおかしくなる(仮名文字にすら日本語フォントとCJKフォントが混じる)ことがあるので、将来的にはS-OFFしたい気もしています。

標準リソースの翻訳がおかしいとかそういうのはいつものことなので気にしないほうがいいし、Android 4.4.4で実用上何の問題もないのでOSのバージョンも特に気にする必要はないですね。

カメラ周りでいくつか

カメラは、悪いとは言っても2014年の平均的な水準にあると思います。

ひとえに、One_M7がひどすぎましたね。

One_M8はカメラが合計3つあるのですが、どれもレンズカバーがガラスではなくプラスチック製です。で、これがものすごく傷つきやすい。レンズカバーに貼るの好きじゃないけど、ちゃんと保護フィルム貼りましょう。

これ、HTCのサービス拠点に持ち込むとすぐその場で即日修理してくれるんですが、まあその話は別エントリで。あと、修理しても対処療法であって傷つきやすいのは変わらないので、フィルム貼らないとどうしようもないのは変わらない。

このレンズカバーのための保護フィルムは、メインカメラがHTL22/HTL23メインカメラのもの・DuoCameraがiPhone 6/6 Plusのもの・フロントカメラがHTX21のものがサイズ的にだいたいよかったです。

特徴的なDuoCameraは、撮影時に上のレンズが被写界深度を測距しているので、編集画面のuFocusという機能を使うと写真の被写界深度を再演算して奥行きに応じたボケ味が後付けできるんだけど、これは一眼の明るい単焦点レンズのボケ味とはまったく違うものなので、カメラ使う人はそれと同じものだと思ってはいけません。

ただ、撮影した写真の編集画面で、タップした場所にフォーカスが次々変わっていくのはおもしろいので、ガジェット好きの集まる飲み会などでは一瞬だけ話題をさらえるのではないでしょうか。

HTCはここのところ、ほかにも『Desire EYE』や『RE』といったキワモノ系カメラガジェットを連作していて、技術系企画の人間に何らかの異常者がいるんだと思います。

フロントパネルの構造が変……

M8のフロントパネルはご多分に漏れず強化ガラス製ですが、これユニットが薄いわけでもなくガラスがデジタイザとLCDにラミネーションされているわけでもないので、それなりに視差があります。

まあ視差があるのはいいんですよ。ガラス面の塗装が決定的におかしくて、LCDの表示領域に食い込むところまで塗装されています。なので、1080x1920すべてのピクセルが見えるわけではありません。でも、斜めから見れば見えます。

ふつうはこのような視差を見越して、LCDの表示キワから数mmの余裕を設けて塗装します。iPhone 6シリーズが限界に挑戦していて、余裕が1mm程度で感心します(ラミネーション技術が高いのでこれでも問題ないんです)。HTCでもM7以前とかXperiaとか古いiPhoneだとだいたい2〜3mmあります。

まあ、ないものはないので、常に画面左右端のどちらかが見切れて見えてイライラします。電話機持ってる腕や顔の位置がちょっとずれるだけで見えたり隠れたりするわけですからね。

過去にたくさん電話機作り続けてきているメーカーのはずなんですが、なぜこんな初歩的なミスをしたのでしょう……

そのほかのまとめ

One_M7の時代は(特に日本版は)酷い出来だったんだけど、ちゃんと悪いところは潰してきてそつなく仕上がってると思います。ウリにされている(が実は悪い)、カメラとスピーカーさえ見なかったことにすれば、本当にふつうのAndroid電話機です。

他のメーカーにあまりない点としては、デジタイザがいわゆる〝高精度タイプ〟で、ツメで操作することができます。男性だとあまりメリットないですが、昨今のHTCはセルフィ(自撮り)を推していてネイルなんかにも気を遣う系の女性向けに売り込みたい意図が見え隠れしているので、わりと〝それらしい〟機能ですね。

ああ、あと夢のハイレゾ音源対応! らしいですが、最低限度だなと思って24bit/96kHzの無圧縮PCMを食わせたらブツブツ切れて再生しきれなかったので、どうやらぼくの知るハイレゾ音源とは違う世界の何かが再生できるようです。まあ、今どき電話機で音楽再生とか痴呆老人しかやらないと思うので、関係ないですね。

本体スピーカーも全体的に音域がとっちらかっていて何を再生したい(聞かせたい)のかがわからない音場感なので、これなら最初からないほうがいいです。Beatsに逃げられたの悲しいですね。

バッテリーは最近のXperiaほどは保たないので、朝から晩まで出かけるとかなら予備にモバイルバッテリーを持ったほうがいいかもしれません。ぼくは5,400mAhの『Motorola P5400』を持ち歩いています。