2016年12月11日日曜日

Huawei P9と過ごした10日間

もう10日も経ってるんですね。途中で日本版のREDに鞍替えしたのもあって、あっという間でした。というわけで、ここまでの感想を。

主張のない標準ソフトウェア

Huaweiのソフトウェア群は、非常にシンプルでUIも統一感があり、全体的には日本や韓国のメーカーのような華美な主張のない、物静かなソフトウェア群でした。決して使い勝手が悪いわけではありません。

カレンダーは設定こそないもののちゃんと前回使用したアカウントに保存してくれますし(日本の某メーカーのように、デフォルトが本体カレンダー強制になっていて、毎回Googleカレンダーに変更する必要などがない)、アドレス帳も設定した敬称付きで表示してくれます。ソート順も日本語に対応しており、自然です。ほかのPIMアプリもそつなくマテリアルデザインになっていて、主張こそないものの使いやすいです。

惜しむらくは □ ボタン、アプリの履歴画面がカードインタフェースでなく、昔ながらのタイルインタフェースであることですかね。これはAndroid OS標準に合わせてほしかった。

日本版ファームウェアにはADUPSがいない

日本版のファームウェアには、ちょっと前に問題になった上海广升信息技术有限公司(广升=ADUPS)製のソフトウェアがありません。これは、ADUPSの com.adups.fota.sysoper や com.adups.fota といったファームウェアのアップデート(FOTA)機能を提供するソフトウェアを採用したAndroid端末にはバックドアがあり、中国国内のサーバーに許可なく個人情報が送信されてしまうというものでした。

Huaweiの端末にもこれがあったのですが、少なくとも日本版のP9のファームウェアにはこの実装が為されておらず、ADUPSのソフトウェアが搭載されていませんでした(FOTAはGoogleの配信サーバーを利用する日本向け独自の実装)。今のところ、Huawei Japanが日本の法制度に合うよう正しく改修しているようです。

少なくとも、FOTA周りに関しては個人情報を収集して特定するような実装は為されていないため、安心していいと思います(ほかにないとは=詳細に調べていないので=言い切れませんが)。

日本版ファームウェアのデフォルトテーマ

これ、実は国際版と日本版でちょっと違っていて、同じようなうねりのテーマなのですが、国際版は光沢感のある壁紙になっていますが日本版は静かな線描になっています。

REDのエントリにも書きましたが、どうせならカラーごとにテーマがあればなおよかった。

指紋センサが快適

指紋認証が速いのもよいのですが、指紋センサをタッチパッド的に使えるのがよいです。ぼくは通知アイコンを表示しない設定にしていて、通知があると画面左上に〝…〟の表示が出るので、指紋センサを下へスワイプするだけで通知の内容が確認できて便利です。

ギャラリーアプリで左右スワイプで写真を送る設定もできます。これも地味に便利で、連発で撮った写真を比較して1枚決めるときに、人差し指をちょっと動かすだけでページ送りの操作ができるので、慣れると画面を親指に邪魔されず写真を直感的に選べます。

カメラは想像以上によかった

iPhone 5あたりのひどい塗り絵カメラを見てから、スマートフォン向けのセンサをあまり信用しなくなっていたのですが(iPhone 4Sのカメラはよかったのに……)、P9のカメラはシャープ製携帯電話にある〝GR Certified〟などよりも厳しくLeicaが監修しているようで、センサの大きさを鑑みても非常によい絵作りができていると思いました。

どうせなら、こんなに広角ではなく標準角でiPhone 7 Plusと勝負してくれればなという感じです。iPhone 7 Plusの換算50mmは個人的には革命だと思う。

中国人に「何それ?」と言われる中国製携帯電話

P9のREDは中国的には珍しい色なので(日本だと日本メーカーがたくさん出してますが)、中国人が「それは何?」と聞いてきます。中国ではもう長いこと(iPhone 5Sの時代から)金色の携帯電話が流行しているので、こういう濃い有彩色は中国メーカーが作らないという先入観があるようです。

iPhoneの金色とHuaweiやXiaomiなどの無個性Android端末を両刀遣いするのが中間層階級以上の中国人という感じなので、iPhoneが濃い有彩色を出せばHuaweiのこういう色も売れそう。

適度な重心、重量感

同じ画面サイズのはずのXperia Z4は、使っているとすぐ手が疲れてくるんだけど、P9は手にしっくり馴染みます。Xperiaのようにトップヘビーじゃないからだと思う。

ストラップホールがあればよりよかったと思うけど、ないものはないので、Pluggy LockとDeffのFinger Ring Strapで代替しています。

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Deff Finger Ring Strap

本体も赤と黒のコンビネーションなので、全部赤と黒になるよう揃えた。

ケースが……ない

中国なので、有象無象のケースはいっぱいあるんですが、あまりまともなやつがありません。ぼくはLVMH (Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton SE)のcellularlineを使っていますが、いいケースなんですがフタを閉じたらスリープにならないのが悲しいです。

純正が全然売られていないので、Appleみたいに純正ケースを自社の拠点(Apple Store)で売れるのは強いなと改めて思います。

HuaweiやZTEは日本市場をやる気でいるわけなので、本当に勝ちたいならリアルにStoreを出して純正サプライを売ってほしい(Huawei Online Storeのラインアップは本当にひどい)。本体だけ売りっぱなしだと日本メーカーの二の舞で、Samsungなどはそこを分かってGalaxy Shopを展開してますよね(あれも純正ケースは入荷すると人気色は一瞬で消えちゃうんだけど)。

ケースで思い出したけど、フロントガラスはよくある耐指紋性溌油コーティングが施されていないっぽくて、盛大に指の跡が残ります。なので、本当はフィルムが欲しいところ。光沢のPETフィルムならフチの違和感も少なそうなんだけど、これもあまりいいのがない……

総評

全体的に軽快なレスポンスで、他社フラッグシップに劣らない性能を持っていると思います。ネットワーク的にも対応バンドが幅広いので、いろんな国で使えてよい。

USB-C端子は…… MateBookを買うべきなんですかね(笑)。我が家ではまだmicroUSBの端末のほうが多いので、純正の変換アダプタが大活躍です。これが添付されているのは本当にありがたかった。

中国だとXiaomi Mi 5と競う立場なわけですが、ボディデザインはMi 5よりイケていると思う。Mi 5はGalaxy Edgeシリーズのように背面がラウンドしているんですが、P9は塊感のある四角さ。バッテリー容量はどちらも3000mAhなんだけど、P9のほうが持つような気がします。どちらも1日以上動くので残量から考えた体感ですが。

日本のフラッグシップに追いつきたいのであれば、次は防水とステレオスピーカーですかね。質感は充分なので、そういった付加価値が付いてくればかなり強くなるんじゃないでしょうか。