2018年10月3日水曜日

Sony Xperia XZ2 Dual H8296 (6GB/64GB)

不人気、時代遅れと散々な言われようだったXperia XZ2ですが、今さら買ってみました。分厚くて重いけど、そんなに悪くはないですよ。

あっ、これがXperiaゾーン という点

画面だけ18:9になって、それ以外は何もかもXZ1より悪くなったと評判の高いXZ2ですが、この筐体の丸みはアリだと思います。案外持ちやすい。けど重いですが。

携帯電話天国である香港でも見かけることの少ないXperiaですが、素のAndroidに近く、キャリアカスタマイズのない香港版はメモリも6GBあって(日本キャリア版は4GB)、他メーカーの同じSnapdragon 845の機種より3万円くらい安い、と見方によってはとてもお買い得です。デュアルSIM対応(※SIM2はmicroSDと排他)で、ちゃっかりDSDVにも対応しています。本体ストレージが64GBしかないので、128GBが大半の世にあってはちょっと見劣りしますが。

Xperiaのよいところは、日本国内ではサプライ品の入手が容易で、国内各社がたくさんケースやフィルムを出してくれることだと思います。海外では手に入りませんが。

DragontrailからGorilla Glass 5となった前後ガラスは、とにかく指紋が目立つので両面ともにELECOMのマットフィルム (背面用はこちら)で覆いました。そういえばカメラが飛び出ていないのも特筆すべき点です。この分厚さで飛び出てたら殺すぞって話でもありますが。

携帯電話用のカメラセンサではトップシェアのソニーIMX擁するソニーモバイルですが、XZ2のカメラは今どき光学手ぶれ補正(OIS)がなく、もはやスタンダードとも言えるデュアルカメラでもありません。旧態依然としたカメラではありますが、色味や写りは正確で、歪曲収差の補正もできます。この感覚がXperiaですね。

ちょっとだけいつもどおりに戻して、カメラの作例を。

今にも降り出しそうな曇天で、撮影条件としては非常に悪い日なのですが、プレミアムおまかせオートの撮って出しで白飛びも黒潰れもせず、優秀なカメラだと思います。

こちらは夜の作例。暗所に強いのはXperiaの伝統ですが、暗部ノイズがあまり見られず、ディテールも崩れていません。OISなしで手持ちでISO感度も高く上げずに(ISO200)これなので、センサ自体は頑張っていますね。

こちらもいつもの建物の作例。バナー広告(※これは本来の意味の横断幕・垂れ幕の意)の内容が飛んでいません。妙な歪曲も見られません。静止画カメラとしてはなかなかこれはアリだぞ? と思わせてくれます。

この感覚が、Xperia という点

Xperiaと言えば尖った機種だったと思うのですが、XZ2は案外凡庸で、目立って特筆すべき点のない機種です。だからこそ分厚い重いとだけ言われるわけですが、ソフトウェアはXperiaそのものなので、この“Liquid Surface”(※これが公式呼称かどうかは知りません)というデザインを纏っていることに違和感を感じたりもします。HTCの電話機なのにXperiaのソフトウェア、みたいな。

3.5mmヘッドセットジャックがなくなったことで怒っている人が5億人くらいいるみたいですが、そんなものはなくなって当然なのでどうでもよくて、むしろXperiaとしてはストラップホールがなくなったことのほうがよっぽど大問題なんじゃないでしょうか。Xperiaは伝統的にトップヘビーなので、指をかける取っ掛かりがないと安定しない。しかもど真ん中に指紋センサがあるので、スマホリング的なものも付ける場所がないという。

水滴をイメージしたというデザインは、見た目としては悪くはありません。むしろ良いほうだと思います。背面から見ると美しいです(フロントはふつうの18:9の携帯電話)。

携帯電話を持ち上げたときに表示されるアンビエントディスプレイ、そこからダブルタップしてロック画面、(カメラと指紋センサを間違わないよう)指紋認証してホーム画面、という遷移の中で画面の中を動き回る円や水滴が美しく、日本的なこだわりを感じます。

そういえばSONYロゴの主張がなくなりました。昔は銀色に輝いていましたが、その業績のようにおとなしい色合いに変わっています。

カメラと指紋センサの位置は完全に悪くて、絶対カメラ側を触ると思うんですが、でもこういうアンバランスさを持つのがXperiaだよなとは思います。どっか必ず外してくる。

フロント側に話を戻して、ディスプレイは本当にHDR10対応なのってくらいふつうの表示なんですが、HDRコンテンツを表示するととたんに威力を発揮します。我々が有機ELの絵作りの派手さに見慣れてしまっただけです。

18:9にしたのは正解だと思うし、いわゆるノッチではなくおでことあごのある旧来のスタイルですが、こういう対象形が美しいのであって、センサの位置などにも細やかな配慮を感じます。ここを崩したらもうHTCと変わらないので独特の個性が薄れてしまうと思う。

だから、私はXperia という点

タッチパネルの精度が悪かったり、曲がりやすかったり、爆熱だったり、指紋センサの精度が悪かったり、過去に様々な問題を抱えてきたXperiaですが、嫌いではないです。国産スマートフォンとしてこれからも頑張ってほしいと思います。

ぼくはDeep Greenの本体色を選んだのですが、ふだんは青っぽく、光の加減では鈍色に輝くカラーリングは見ていて飽きを感じさせません。フレームからガラスへの継ぎ目もなく、なだらかに素材が変わるのもよいです。

時代は有機ELなので、ソニーもXZ3でそちらへシフトすることになっていますが、たまにはこのような試みある電話機(一般に、失敗作と評されるそれ)を作ることも忘れないでほしいですね。