2018年12月3日月曜日

Huawei Mate 20 X EVR-L29 (6GB/128GB) - Midnight Blue

P20 ProからMate 20 Proへ乗り換えようとしていたんですが、ちょうど FunkyShop.club がBlack Fridayセールをやっていて、セット内容が非常にお得感あったのでこっちにしました。

FunkyShop.club はあまり日本では馴染みのないショップですが、Huaweiのブートローダーアンロックやリブランドなどを行うツールを提供している、FunkyHuawei.club のハッカーたちが(何故か)やっている香港拠点のショップです。

7.2インチの大きな携帯電話です。ちょっと前ならタブレットのサイズですね。水滴状のノッチが小さくてかわいい。

Mate 20 Xは、いわゆる“ゲーミングスマホ”としてリリースされています。Mate 20シリーズはSoCが共通なので区別をつけづらいのですが、Mate 20 Proは防水防塵やIrisスキャナ(赤外線カメラ)を積んで用途や認証系が厳格なプロ向け、無印のMate 20が一般的なコンシューマ向け、そして今回のMate 20 Xが液冷システムを積んだゲーミング向け、です。

256GBのNMカードとM-Pen、そして準純正扱いのBETOP G1 Video Game Controllerが付いてきました。あとおまけのフィルムが貼られた状態で届いた。

なお、FunkyShop.clubで買うとツール『FunkyHuawei』のUnlimited Passも付いてきますが、Kirin 980には今のところ非対応なので、今はあんま関係ないかな……。

DHLで送ってくれるのですが、発送も配送もとても速くて、3日の午前に頼んで4日の午後着(香港九龍での午後発送から日本東京への午後到着で24時間以内)だったのでとてもよかった。

軽くスペック紹介

SoCのKirin 980はNPUがデュアルコアになって、AIが少し賢くなりました。具体的には、カメラの演出を過剰にしなくなりました。P20 ProのマスターAIは速攻で切るべき存在でしたが、これなら使ってもいいかなという感じに落ち着きました。

P20 Proと比べると、カメラは0.6倍の超広角レンズ(16mm)が付いて、対物25mmまで寄れるようになりました。

過去、様々なメーカーが携帯電話のシングルレンズに光学ズームや大型センサの搭載などで、いろいろな手法を使って演出範囲を広げようとしてきました(そしてそのどれもが力尽きていきました……)。でもそんなの関係ねぇと、3眼レンズとAIの力だけですべてをまかなう力技、ぼくは嫌いではないです。

EMUI 9になったので、Android 9になりました。大きく変わったなと思ったのはナビゲーション周りで、全画面(仮想ナビゲーションバーなし)のアクションがよりiPhone似になりました。戻る進む以外はほぼ同じ操作で行けます。

本体サイズは、Xperia XZ2と比較してこんな感じ。Xperia Z Ultraをひとまわり小さくしたくらいのサイズです。

チャームポイントの赤い電源ボタンです。物理キーは音量上下と電源の3つだけですが、ここだけ赤くなっていてアイキャッチーな感じがあります。

なお、Mate 20 Pro (上の画像)はボタン全体が赤いのですが、Mate 20 Xはボタンのダイヤモンドカット部だけが赤いという違いが存在します。

指紋認証はカメラレンズの下側にありますが、ぼくの用途的にはSmart Lockによる顔認証でも充分なので、そんなには使いません。顔認証はMate 20 Proと違って、3D顔認証ではありません。

基本的にMate 20 Proと似たような構成ではあるのですが、防水防塵がないこととQi対応がないことは大きな違いです。その代わり、3.5mmイヤホンジャックがあったりノッチが小さかったりするわけです。

いつものカメラレビュー

定点のいつものやつですね。



P20 Proとそれほどの差はないと思います。ただ、先述のようにマスターAIが有効でも演出が派手な絵造りにならなくなりました(作例はすべてマスターAI有効です)。



ズームの作例も。



超広角/マクロが売りなわけなので、そちらも。

携帯電話でここまで寄れて、緻密な描写をしてくれるものは今まで存在しなかったので、満足度高いですね。

NMカードの話

日本だと当面は128GBしか販売されないので、ぼくは256GBを選んだのですが、Androidは基本的に外部ストレージは所詮外部ストレージであって、アプリが積極的に使うというよりは写真や音楽を保存しておく場所、という感じじゃないですか。

ぼくは写真をRAWでいっぱい貯め込むので(現像が億劫で……)、ストレージは大きければ大きいほど良くて、QoLとしては満足度が高いです。あとまあ単品で買うと2万くらいするわけなので、セットに付いてきてよかったなという感じ。

nanoSIMカードとまったく同じサイズです。

ひっくり返すとちょっと独特のパターンが見えます。

Huawei 2-in-1 Memory Card Reader

これは今回のセットとは別で買いました。

USB 3.1 Gen.1に対応したmicroSDとNMカードのリーダーです。USB-CとUSB-Aの両方に対応しています。日本では、一部店舗が購入特典につけてるみたい? (NMカードの販売もまだなのに……)

中央にHuaweiの新ロゴがついた、シンプルな造形です。

背面のスライダーはNMカードを排出するためのもの。

リーダーの両端にAとCのコネクタが付いているので、使いたいほうを出して使えます。べんり。

M-Penで描けるぞ!

Mate 20 Xは、Galaxy Noteファミリをかなり意識したラインなので、別売りのペンで4096段階の筆圧検知に対応した手描きができます。

あと、内部的には液冷システムが入ってるのも一緒だけど、ここの項目とは関係ないので。加えて言うなら、Galaxy Note 9よりかなりでかいです。

ペンのプロトコル的にはWacom AES 2.0らしいんですが、AES 2.0のペンでも反応しないのでよくわからない。なお、M-PenはUSB-Cで充電できます。AAAA(単6)みたいな特殊バッテリーじゃなくてよかった。

作例はいつものAdobe Photoshop Sketchです。

でかいので結構描ける。のとペン先が硬いのでペーパーライクフィルムを貼りたい気持ち。PDA工房』さんに頼もうんだ結果を こちらに書きました (12/8追記)。

文字を書く用途としてはGalaxy Note 9だろうがMate 20 Xだろうが正直一緒なのですが、絵を書くとなるとスクリーンはでかければでかいほどいいので、7.2インチという巨大さが活きてきます。

BETOP G1 ビデオゲームコントローラ

まずは合体画像を見ていただくとして──

これは何? という感じですが、実はHuaweiの発表会でもこのアクセサリは大々的に紹介されていて、準公式のアクセサリです(Huaweiが売っています)。

外箱もHuawei製品とイメージが統一されています。

Bluetooth 5.0で本体と接続され、独自のプロトコルでゲームをコントロールできるようになっています。

他社のAndroid端末に接続してもちゃんと認識されません。つまり、EMUI側で面倒を見ているということになりますね。

対応ゲームがどれだけあるのかいまいちよくわからないんですが(※Huaweiのアプリマーケット『AppGallery』に対応ゲームがリストアップされていたりしないので)、ふつうのゲームパッドとはちょっと違うみたい。『荒野行動』とか対応してるみたいですよ。

ただ、標準のゲーム向け最適化機能『AppAssistant』に非対応ゲームを登録すると、コントローラのボタンとアナログスティックを画面上にマッピングできる機能が付いているので、『PUBG MOBILE』などでも遊べます。

ゲーム画面の右側にAppAssistantの半円のアイコンが見えてるので、それをタップすると設定画面へ行けます。


ボタンの設定でそれぞれのボタンを、そのボタンで押したい場所へドラッグしてやればOKです。アナログスティック(スワイプ操作に該当)は、PUBGの場合は画面の空白のところへ置いておけばいい感じに使えます。

ちなみにこれはUSB端子で本体と物理的に繋がるわけではないので、別途充電用のUSB-Cポートがあります。

グローバルでシェア2位の底力が出てきた

Huaweiは2018年2QのIDC調査で世界シェア2位という快挙を成し遂げていますが(日本でもBCN調査でシェア50%超えの好順位です)、成熟してきたEMUIの使い勝手や、他の追従を許さないAI supportedなカメラの体験を実感すると、その順位にも納得がいくものです。

P9などのころと比べて、ユーザー体験のレベルは着実に進化してきており、素のAOSP体験に近いXperiaやHTC端末などと比べるとEMUIはとっつきにくさはありますが、よく練り込まれたインタフェースです。

以前は弱かった、純正オプションのそのものの数やラインアップも、協力メーカーとのタイアップで改善しつつあります。今回のBETOP G1などはそのよい例でしょう。

Huawei製品排除措置に対するお気持ち

Huaweiは今、米国との貿易摩擦の真っ只中にあります。曰く、中国のサーバーと通信するので信頼できない、安全性が担保できない。しかし、その背景には米国企業であるAppleの販売数に急迫する勢いのHuawei製品の排除が目的として存在しています。

Huaweiが本当に通信傍受を行っているのかどうかはともかくとして、米国の同盟国である日本もHuawei製品の排除を迫られる立場にあります。

しかし、科学的な論拠に基づかない憶測での排除は少々やりすぎとも感じますし、そういう点ではHuawei製品を買い支えたいというのが筆者の気持ちです。Appleも、個人特定を目的としない広範な(いわゆるビッグデータとしての)情報収集は行うと明言しているのです。Huaweiがそれを行っているからと言って排除する理由にはなり得ません。

Huaweiの得意とするAI (NPU)は、このような広範な情報収集を元に成り立っている科学的な技術であり、筆者はこれは情報通信分野の世界的な発展に貢献しているものと考えています。米国企業の不利益になるとして、それは米国企業が技術的な基礎努力を怠っているからであり、それが技術的に見劣りする現在の製品ラインアップに現れていると考えます。消費者の立場としては、より優れたものを選択したいというのは自明の理です。

つまらないパーソナルアシスタントでAIを名乗れる時代はとっくに終わりました。渦中のAppleももっと、本当に人の役に立つ方向性でAIを開発すればよいのです。

今のところの総評

携帯電話として使える大きさだとは思っていなかったんですが、もしかしたらという気持ちもあって、届いてみたらまあやっぱり大きいですよね。ここまで来ると、ファブレットというより小さいタブレットという佇まいです。

そこへ最新のSoCや最高レベルのカメラを収めているので、オンリーワンの存在であると思います。タブレットのカメラって基本画質が悪いので。


そういえば何もしなくてもVoLTEに繋がるので、わりと最後まで日本で出すか出さないかの迷いがあったのかもしれません。

ビデオゲームコントローラは、設定方法を理解するまでは何もできなかったので、どうしようこれみたいな感じでしたが、一度理解してしまえば好きなように設定できるしマクロも組めるので、かなり自由度の高い製品だと思います。

Mate 20 Proと最後まで悩んだんですが、買ってしまえば国内通販と変わらない速度で届いたし、ものの出来はよいし、よい買い物でした。